本木雅弘と竹原ピストル『永い言い訳』の対照的な芝居 若手演出家が感情表現の奥深さを考察

本木雅弘と竹原ピストル、感情表現の違い

 周囲の人々や社会に何を求められているか、いつも考えすぎてしまう私のような人間は、幸夫に深く感情移入してしまいました。その一方で、悲しいときに悲しいといえる陽一の生き方が、とても眩しく見えます。

20161016−nagaiiwake-sub2-th.png

 

 ふたりの対比は鮮やかで、ストレートに感情表現しない人と、思ったことを素直に口に出す人とでは、どちらが人間として正しい生き方なのか考えさせられました。同時に、二元論では語れない“人間”というものの複雑さが、西川美和監督によって丁寧に描かれていました。そしてその複雑さは、そのまま“表現することの奥深さ”を改めて突きつけてくるもので、私自身もとても刺激を受けました。

 是非、多くの人に劇場に足を運んで欲しい作品です。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■公開情報
『永い言い訳』
10月14日(金)全国ロードショー
出演:本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、堀内敬子、池松壮亮、黒木華、山田真歩、深津絵里
原作・脚本・監督:西川美和
原作:「永い言い訳」(文藝春秋刊)
配給:アスミック・エース
(c)2016「永い言い訳」製作委員会
公式サイト:nagai-iiwake.com/ 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる