アンジャッシュ・児嶋一哉、なぜ実力派監督に起用される? コントで培われた“くどくない個性”

アンジャッシュ児嶋、役者としての魅力

 こうしたさじ加減は天性のものなのか、それともしっかり計算されているのか——。本人に問うてみたことがあるが「特に意識しているわけではない」と語っていた。さらに理由を追及すると、一つのキーワードが浮かび上がってきた。それがアンジャッシュの“コント”だ。「キャラクターがない二人の苦肉の策」だと児嶋は語っていたが、人物を追求し、ストーリー性のあるシュールなコントを作り、演じてきたことが、どんな人物にもスッと入り込める下地となっているのだろう。そのことは児嶋本人も同意していた。

 ただ、本人は「やるからにはもっとうまくなりたい」と言いつつも「軸は芸人」と断言している。決して自身を「演技派」であるとは認識していない。しかし、しっかりと個性を出しつつも、作品に溶け込むことができるのは、芸人というジャンルでは、稀有の存在だ。児嶋の演技を総称して「くどくない個性」と表現すると、本人は「それいいフレーズだね。使わせてもらおうかな」と満面の笑みを浮かべる。前述したように“イジラレ芸人”という飛び道具的なキャラクターも兼ね備え、しかも真正面から俳優としても高い評価の児嶋一哉。これからも映像界で活躍することは至極当然のことなのかもしれない。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■公開情報
『少女』
10月8日(土)全国ロードショー
原作:湊かなえ『少女』(双葉文庫)
監督:三島有紀子
出演:本田翼、山本美月
配給・宣伝:東映
(c)2016「少女」製作委員会
公式サイト:www.shoujo.jp

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