『ジェイソン・ボーン』好発進! 歴代『ボーン』シリーズは日本でどう受容されてきた?

歴代『ボーン』シリーズ、日本での受容を検証
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 まずは「今週の『君の名は。』のコーナー」。先週末土日2日間の動員は51万3000人、興収は約7億円。これで1位は7週連続となる。もっとも、動員では先々週末の65万人の約79%と、8月の公開以来、初めて80%の推移を割ったことを指摘しておきたい。3連休最終日10月10日までの累計興収は145億6000万円とのことなので、近々に150億突破のニュースが報じられるはずだが、この勢いがこのまま年内いっぱい続くかどうかは微妙な情勢だ。いや、それでもすごすぎるんだけど。

 今週注目したいのは初登場2位、久々の正統派洋画アクション大作の公開となった『ジェイソン・ボーン』。土日2日間の動員は24万7000人、興収は3億4500万円。マット・デイモン主演作としては『オデッセイ』の大ヒット(累計興収約35億円)の記憶も新しいが、これで年に2本のヒット作をものにしたこと、さらに本作では来日プロモーションも精力的にこなしていたことで、ようやくここ日本でも本国に遅れること10数年、マット・デイモン人気が定着しつつあると言っていいのかもしれない。今年はこの後に同じく「スター映画にして役名がそのままタイトルとなった続編アクション大作」、トム・クルーズ主演の『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の公開も控えているが、トムvsマット、あるいはジャックvsジェイソン(『フレディvsジェイソン』みたいだな……)のアングルからも引き続き検証していきたいと思う。

 「ようやく」としたのは他でもない。今から14年前、2002年公開(本国)の『ボーン』シリーズ第1作『ボーン・アイデンティティー』の大ヒットによって、アメリカ本国及び世界中で押しも押されもせぬトップスターとなったマット・デイモン(そのさらに4年前の『プライベート・ライアン』の頃から超売れっ子ではあったが)だが、ここ日本ではそのフツーなルックス(そこがいいところなんだけど)のせいで、なかなか大ブレイクにいたらなかったのだ。数字は正直だ。ここで、過去の『ボーン』シリーズの日本での興収を振り返ってみたい。

 本国から半年以上遅れて(それだけ期待されてなかったということ)2003年1月に公開された『ボーン・アイデンティティー』は約16億。「あれ? 意外に当たってるな?」という印象を持つ人もいるかもしれないが、この年は『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の173億を筆頭に、50億以上の洋画が7本もあった、まだ洋画にバンバン客が入っていた時代。にもかかわらず、年間ランキングでは幸福の科学製作のアニメ作品『黄金の法 エル・カンターレの歴史観』の下の33位に甘んじている。

 続いて、監督がポール・グリーングラスとなってシリーズの人気とその革新性を決定的なものとした第2作『ボーン・スプレマシー』は、これまた本国から半年以上も遅い2005年2月に日本公開。日本以外のすべての国で前作から大幅に興収を伸ばしていたにもかかわらず、日本では約12.5億とここにきて大幅にダウン。年間ランキングでは当時「『ゴジラ』シリーズを終わらせた」とまで言われていた珍作『ゴジラ FINAL WARS』の下の46位という不名誉な結果に。個人的にも『ボーン』シリーズにどハマりしたのはこの作品だったので、当時は憤懣やるかたない気持ちであった。

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