SMAP、ドラマ界における功績 “最後のデビュー記念日”に5人の軌跡を振り返る

 そして、ぜひふれておきたいのは、SMAPのメンバーだからこそ演じられた超異色の役柄。中居は『ATARU』(TBS系)でサヴァン症候群の男性、木村は『CHANGE』(フジテレビ系)で総理大臣、『安堂ロイド』(TBS系)でアンドロイド、稲垣は『ヨイショの男』(TBS系)で極端なお世辞男、草彅は『フードファイター』(日本テレビ系)でフードファイター、『任侠ヘルパー』(フジテレビ系)で暴力団員を演じた。香取に至っては、『未成年』で知的障がい者、『透明人間』(日本テレビ系)で透明人間、『ドク』(フジテレビ系)でベトナム人青年、『西遊記』(フジテレビ系)で孫悟空、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(TBS系)で両津勘吉と、もはやムチャぶりレベルの配役だ。

 こうした超異色の役を主人公に据えた“飛び道具”のようなドラマが作れたのは、SMAPのメンバーが「アイドルであり、バラエティタレントであり、俳優」という不思議な存在だから。その意味で、この20年あまりSMAPが連ドラの多様性を支えていたとも言える。

 こうして振り返ってみると、「アイドルと俳優(若手、大物)の共演」「会社員と専門職の主人公」「一般人と超異色キャラの共存」など、いかにSMAPがドラマ業界の垣根を取り払っていったがが分かる。

 彼ら5人の功績を称えるとともに、解散後は“アイドル”という肩書きを脱ぎ捨てた一人の“中堅俳優”として、素晴らしい演技を見せてくれることを期待したい。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間約20本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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