欅坂46・渡邉理佐のフォトジェニックな存在感ーー『徳山大五郎』でトップヒエラルキーに

『徳山大五郎』欅坂46・渡邉理佐の存在感

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 ただ、演技面に関しては少しぎこちなさが残る渡邉。それを補完するのは石森虹花と齋藤冬優花の役割だろう。二人とも決して巧みな台詞読みができるわけではないが、メンバーの中で誰よりも先に映画女優デビューを果たした石森の経験値は侮れない。現在公開中の映画『コープスパーティー Book of Shadows』で、乃木坂46の生駒里奈と共演を果たした彼女は、表情の芝居が際立つ。メンバーのほとんどが自然に近い演技や、キャラクター作りに重きを置いているように見える中で、彼女だけが演技らしい演技をしているのである。

 また、メンバー内でも卓越したダンスのセンスを持つ齋藤も、その長所が動きの芝居に反映されている。もっとも、二人とも渡邉というリーダーに付きっきりの没個性的なキャラクターで、雰囲気だけでは体現しづらいだけに、単体で見ると他のメンバーよりも印象が弱く感じる部分もある。しかし、3人並ぶと絶妙な存在感を放ち、クラスを牛耳るトップヒエラルキーらしさをまざまざと見せつけるのである。非常に良いバランスを持った3人だ。

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 ところで、メンバーを把握し始めると、やたらと細かいところに目がいってしまう。今回、徳山を埋めるために夜に教室に集まったメンバーは、全21人のうち13人。来なかったのは、尾関梨香、菅井友香、小池美波、原田葵、佐藤詩織、上村莉菜、長沢菜々香、米谷奈々未の8人だ。さらに、夜の教室で警備員がやってきたときに、ロッカーに隠れる平手と長濱と渡邉グループの面々。他の4人が横並びのロッカーに入る中で、長濱だけは自分のロッカーの方に敢えて向かっている。ところが、実際に入ったのは、ひとつ隣の長沢のロッカーだった。徳山の遺体がもう入っていないのを誰よりも知っているはずの彼女が、何故そうしたのかが妙に気にかかる。ミステリードラマである以上、こういった些細な部分が推理の手掛かりになるのだろうか。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
土曜ドラマ24『徳山大五郎を誰が殺したか?』
テレビ東京
毎週土曜よる0時20分〜
出演:欅坂46ほか
企画・原作:秋元康
(c)「徳山大五郎を誰が殺したか?」製作委員会
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/tokuyama/intro/

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