門脇麦×岸善幸が語る“ノンフィクション”の演技論 門脇「ラブシーンは体と心に与える衝撃が大きい」

門脇麦が語る、ノンフィクションの演技

門脇「台本は一度だけ読んで、その後はなにも考えない」

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『二重生活』場面写真

ーーちなみにカットがかかった後の門脇さんはどんな様子ですか?

岸:先ほど話した通り、現場がとても忙しかったので、撮影の合間もスタッフと一緒に珠であり続けていたんじゃないかな。たとえば、彼女が撮影の合間に差し入れのケーキを食べて喜んでいた、みたいなシーンは見かけなかったですね(笑)。

門脇:今の監督の発言でひとつ訂正すると、差し入れに関してはすべて美味しくいただきました。ありがたく(笑)。

ーー(笑)。本作では、「なぜ人間は存在するのか。なんのために生きるのか」という哲学的な疑問がきっかけとなり、珠は理由なき尾行を行うようになります。門脇さん自身は、なぜ生きるのか、なぜ演じるのかなどを考えることはありますか?

門脇:考えないです。考えたところで特になにも出てこないし、なにもわからないのですぐに考えることをやめます。

ーー“自分にはなにもない”ということを考えることは?

門脇:それもないですね。自分のことを考えるかってことですよね?……うん、あんまりないですね。

岸:僕が思う門脇麦の凄さは読解力だと思います。以前、別の映像作品で麦さんにナレーションをお願いしたことがあって、言葉のニュアンスがプロのナレーターでも敵わないくらい素晴らしかった。語尾を弱めたり、句読点での息のつき方ひとつで、見えてくる映像の雰囲気も変わってきます。なにかを与えた時に、それを読み解いて理解する力は、僕が知る中では絶品ですね。だかこそ、今回の役も任せることができました。

門脇:でも、台本を読んで考えこむことはないです。というか考えられないだけですが(笑)。なによりも一番最初に読んだ時の感覚を大事にしています。二回目に読むと思考に走ってしまうので、全神経を集中して一度読んで、その一回目で作品の感覚や匂いを掴んでいきます。その後は、もう何も考えません。考えてもこれ以上は面白くならないだろうなって。あと、先ほどの質問の答えですが、自分に興味がないわけじゃないんですよ。実際に状況が変わったり、ひとつの作品を撮り終えた時に振り返ってみると、当時自分が考えていたことの答えがわかったり、自分が進んでいることを実感することができています。悩んだところで、すぐに何かが変わることはあまりないですし、たとえなにかあったとしても、そのうち解決するんだろうなーって長い目で見るようにしています。

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写真=向山裕太

(文・取材=泉夏音/メイン写真=向山裕太)

『二重生活』予告映像

■公開情報
『二重生活』
公開中
監督・脚本:岸善幸
音楽:岩代太郎
原作:小池真理子「二重生活」(角川文庫刊)
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、河井青葉、篠原ゆき子、西田尚美、烏丸せつこ、リリー・フランキー
2015年/日本/カラー/126分/16:9/デジタル5.1ch/R15+
製作・配給:スターサンズ
配給協力:コピアポア・フィルム
(c)2015『二重生活』フィルムバートナーズ
公式サイト:nijuuseikatsu.jp

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