攻殻機動隊、ポケモン、ナルトーー日本漫画、ハリウッド実写化のいま

 とはいえ、面白そうなコンテンツを先物買いすることの多い映画業界。『アキラ』や『MONSTER』のように、権利交渉が長期化し、途中でストップしてしまうことも少なくない。映画化が実現したとしても、原作を無視した大幅なストーリー改変や、人気俳優を起用した「原作とのイメージのギャップ」によって、原作ファンがそっぽを向いてしまっては本末転倒である。2009年に実写化された『ドラゴンボール・エボリューション』に至っては、脚本家が原作ファンに向かって謝罪の言葉を述べるという異例の事態が発生した。(参考:5)

 今後、ハリウッドでは漫画実写化のトレンドは暫らく続くであろうが、その量に比例するように、手厳しい評価の下る作品も増えていくだろう。そもそもハリウッドでの実写化には多くの制約はつきものだろうし、何十巻もある漫画を2時間の尺にまとめるのは至難の技でもある。しかし、究極のところ、我々が実写化に求めているのは、あくまで「原作と変わらないキャラクター設定」ではなく、映画として、作品として成立しているかどうか、面白くなっているかどうか、だけなのである。いかにキャラクターが変貌していようが、ストーリーが簡略化されていようが、面白くなっていれば、それで万事オーケーなのだ。

日本で実現できなかった漫画が、海を渡って、ハリウッドでどんな風に料理され、生まれ変わるのか、その成果を楽しみにしている人々は世の中に少なからず存在する。「漫画の実写化は面白くない」という不名誉なジンクスを覆す作品が近い将来、ハリウッドから出てくるのかどうか、今後の進展に期待したい。

(文=落合真理)

参考1:Why Did 'Doctor Strange' and 'Ghost in the Shell' Whitewash Their Asian Characters?
参考2:Pokemon Movie Rights Bidding War as China's Legendary Makes Big Play for Japanese Property
参考3:'Astro Boy' Heading to New Line With 'San Andreas' Writers (Exclusive)
参考4:Kiseijuu: Sei no Kakuritsu
参考5:Dragonball Evolution Writer Apologizes to Fans

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