柳楽優弥、完全復活の背景ーー元・天才子役はいかにして挫折から這い上がったか

柳楽優弥の役者人生を振り返る

 現在出演中のドラマ『ゆとりですがなにか』では、風俗店の呼び込みをしながらも東大を目指す11浪で(事実婚のような形だが)妻子持ちの男を演じている。チンピラではあるが芯を持つ男で、岡田将生や松坂桃李に救いの手を差し伸べる良き理解者。これもまた仕事がなかった時期の境遇に重なるところがある。どこか頼りなく内向的な雰囲気を纏っていた柳楽が一転し、演技を超えて、実は私生活でも怒らせたら怖いのでは、と視聴者が感じてしまうほどの姿を披露している。

 そして現在公開中の『ディストラクション・ベイビーズ』のインタビューでは、「僕は今、26歳ですが、20代では基本的に「来るものは拒まず」という気持ちなんです。引き出しを増やすために、どんなことでもトライしたい。そうすると、30代は確実に自分がやりたいことが見えてくる気がするんです」(引用元:『ディストラクション・ベイビーズ』 柳楽優弥&真利子哲也監督インタビュー)と、一度どん底を経験したからこそ思える境地を語っている。演技が本当に好きで、天才がどん欲に努力をするようになったら怖いものはない。「世代交代です!」と堂々と宣言できるのは今まで培ってきた自信の表れである反面、これからの覚悟も示しているのだろう。早速2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の出演が決まるなど、有言実行中の柳楽がこれからいったいどんな役者になっていくのか、実に楽しみである。

(文=本 手)

■公開情報
『ディストラクション・ベイビーズ』
公開中
監督・脚本:真利子哲也
脚本:喜安浩平
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、三浦誠己、でんでん
配給:東京テアトル
(c)2016『ディストラクション・ベイビーズ』製作委員会  
公式サイト:distraction-babies.com

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