ディズニー・ブランド健在 公開4週目を過ぎても圧倒的な強さの『ズートピア』

圧倒的な強さの『ズートピア』
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 公開3週目に初の動員1位となった『ズートピア』が、先週末の土日2日間も動員35万1049人、興収4億5893万800円をあげて2週連続1位を獲得。なんとこの記録は、ゴールデンウィーク最後の週末だった先々週に対して、ただの週末だったにもかかわらず、動員にして約122%、興収にして約119%という驚異的な数字。公開4週目にして完全に「化けた」と言っていいだろう。

 近年のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品の日本での興行で特徴的なのは、このように国外での作品の評判や、映画会社やメディアの仕掛けとは直接関係のない口コミの力によって、公開後しばらく経ってから自然発生的に現象化するところにある。4か月以上のロングランとなって累計興収254.8億を記録した2作前の『アナと雪の女王』はちょっと別次元としても、前作にあたる『ベイマックス』も3週目から「化けた」のは先週の当コラムでも記した通り。『ベイマックス』の時に原動力となったのは子供たちだったが、今回の『ズートピア』は大人からの支持も極めて高い(興収を動員で割ると、平均入場料金は1300円以上をキープしている)。特に、大ヒットの鍵を握る女性の観客層にもしっかりとリーチしていて、レディースデイの昨日(5月18日)は都内では満席の上映館も多く見られたという。

 どうしてディズニーのアニメ作品は公開3〜4週目以降からの伸び率が異常に高いのか? その最大の理由は「ディズニー・アニメは映画ではない」からだと自分は分析する。「何を言っているのか?」と思われるかもしれないが、そう考えないと、あらゆるジャンルの作品が特定のファンに支えられた「初動型」となってきている昨今において(音楽CDにおいてそれはより顕著だ)、ディズニー・アニメだけが「4週目になって3週目よりも動員が増える」なんてことが起こり得る理由の説明がつかない。

 日本人の劇場での年間映画観賞本数の平均は1.3本。これは、アメリカ人や韓国人の年間映画観賞本数の3分の1以下であり、それだけでも「週末は映画館に行く」のが当たり前の自分のような映画ファンからすると衝撃的なのだが、この数字を別の角度から見るとさらに衝撃的な事実が浮き上がってくる。ライター・リサーチャーの松谷創一郎氏によるデータ推定(http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20151116-00051488/)によると、約1億2700万人いる日本人の中で、1年に1本も劇場で映画を観ない人は約8580万人。1年に1本だけ劇場で映画を観る人の約1524万人と合わせると、実に日本人のうち1億人以上が「基本的に劇場で映画を観ることはないけれど、1本くらいは観る年もある」人なのだ。

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