マーベルはいかに日本で浸透したか? 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の興行を読み解く

『シビル・ウォー』興行を読み解く

 もっとも、単独作としてはディズニー・マーベル最強の興収実績を持つアイアンマンや、本作でディズニー・マーベルには初登場となるアメコミヒーロー知名度ナンバーワンのスパイダーマンまで登場する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を、単純に『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の続編とすべきではないという声もあるだろう。ならば、比較対象を広げてみよう。2013年、同じくゴールデンウィーク公開、そして同じく本国に先駆けて公開、さらには同じく単独3作目にしてシリーズ最高の累計興収25.7億を記録した『アイアンマン3』の初週の週末2日間の成績は動員27万3776人、興収4億1467万5650円。また、ちょうどその翌年となる2014年のゴールデンウィークにはソニーの配給で、スパイダーマン単独作としては現在のところ最新作である『アメイジング・スパイダーマン2』が公開されている。こちらの初週の週末2日間の成績は動員27万2709人、興収4億2029万7900円。つまり、いずれの作品に対しても、動員、興収ともに『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』がしっかり上回っているのだ。

 ハルクとソー以外のほぼすべてのマーベル・ヒーローが総結集している今回の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、実質的には『アベンジャーズ2.5』と呼んでも差し支えのないゴージャスな内容で、作品の完成度もピカイチ。さすがに昨年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のオープニング2日間の記録(動員50万5521人、興収7億9390万8800円)には及ばなかったものの、同作の最終興収32.1億円にどこまで迫ることができるか、その推移を見守っていきたい。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)発売中。Twitter

■公開情報
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
全国公開中
監督:アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(c)2016 Marvel.
公式サイト:Marvel-japan.jp/Civilwar

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