峯田和伸×麻生久美子×岡田惠和、夢の布陣はなぜ実現した? 河野英裕P『奇跡の人』インタビュー

『奇跡の人』プロデューサーインタビュー

「ファンタジー性をもった役者さんをキャスティングしています」

20160422-kiseki-03th.jpg

 

——河野作品の特徴であるファンタジー要素は、今回はどう描かれますか?

河野:漫画のキャラクターが実体化したり、カエルが喋り出したり、というザッツなファンタジーのない、リアルな話です。ただ、僕はファンタジーが好きなので、峯田さんや白石加代子さんなど、ファンタジー性をもった役者さんをキャスティングしています。

——河野さんが意味する「ファンタジー性のある役者」とは? 人間離れした、妖精感のある人?

河野:いえ(笑)。100人が100人、「こういうことだよね」と思わない、人によって解釈の異なる芝居をする役者さんといいますか。乱暴な言い方をすると、わかりにくい芝居をする人。だから見ている人が必死に「このキャラクターは今、こういうことを考えているのかな」と考えさせられる。それが僕の思う「役者のファンタジー性」です。

——河野さんの作品にはもうひとつ、異形のものに出会った人間の変化という共通するテーマがあります。本作における異形のものとは?

河野:海ちゃんです。言い方は悪いですけど、この世界は僕ら健常者の視点ですべてが決まっている。でも、海ちゃん側にしてみたら、彼女の視点が世界のすべて。多数決で世界は成り立っているので、少数派の海ちゃんが異形のものです。そして、彼女に出会ったダメ男の一択が変化していく姿を描きます。

——花にとっては一択が異形のもののような気がします。

河野:そうかもしれない。一択も相当な男ですから(笑)。

——デリケートな題材へのチャレンジですね。

河野:取材をして思うのは、障害のある子どもも、その親も、24時間、嘆き悲しんで過ごしているわけじゃない。当たり前のように、笑ったり、怒ったりしている。そこを描きたい。そして、一択は世間の基準ではダメ男ですけど、海ちゃんを素直に受け入れて、世間からの「可哀想」という上から目線や、無理解と戦っていく、そこが超カッコいい。このドラマを通して、盲ろうに限らず、すべての障害者や、すべての弱者に少しでも光が当たるきっかけになればいいなという思いは当然あります。

——このドラマで目指す場所を教えてください。

河野:若い人に観て欲しいけれど、彼らはBSを観る習慣がない。だから、一気に多くの人に見てもらうというよりは、再放送されたり、DVD化されたりと、細々とでいいから、長く目に触れるものになるように、ドラマのクオリティを保っておきたい。絶対に面白いドラマを作ります。

(取材・文=須永貴子)

■ドラマ情報
プレミアムドラマ『奇跡の人』
2016年4月24日(日)〜6月12日(日)
BSプレミアム 毎週日曜 午後10時〜(連続8話)
※再放送は、毎週土曜 午後11時45分〜
作:岡田惠和
出演:峯田和伸、麻生久美子、住田萌乃、浅香航大、中村ゆりか、勝地涼ほか

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる