成海璃子と矢崎仁司監督が明かす、『無伴奏』で挑戦しようとしたこと

矢崎仁司監督&成海璃子インタビュー

矢崎「成海さんを少女から大人の女性にするぞという決意を持って挑んだ」

20160113-mubansou05.jpg
(c)2015 「無伴奏」製作委員会

ーー現場の雰囲気は割と和気藹々とした感じだったんですか?

成海:楽しかったですけど、撮影は結構過酷でしたでした。まず寒かったんです。冬の撮影なのに、夏服を着るシーンが多くて、浜辺で水着のシーンもあったりました。撮影は私と池松さんと斎藤さんと遠藤さんの4人のシーンが多かったので、4人でいる時はくだらない話をして盛り上がったりしてました。あと、池松さんと2人のシーンも多かったんですけど、池松さんがすごく頼り甲斐がありました。

矢崎:監督より頼り甲斐あったでしょ?(笑)

成海:いやいやいや!(笑)

矢崎:僕も俳優の皆さんには本当に助けられているんですけど、池松さんはその中でも頼り甲斐があって、監督以上に映画全体を考えているので、何度も助けられましたね。

成海:一緒に戦った仲間って感じですよね。

20160218-mubansou02.jpg
(c)2015 「無伴奏」製作委員会

ーー成海さんは性格的にも響子に近いのかなと思ったんですけど、実際はどうなんでしょう?

成海:私は自分の考えや思っていることを言葉にするのがすごく苦手なので、そこはもう響子とはまったく違いますね。あと私は思ったことをすぐ言っちゃうので、響子のような健気さもないです(笑)。でも例えば、ひとりの人をすごく好きになった場合、その人にどんなことが起こっても、好きだったらもう追いかけるしかないっていうのは想像できたので、そこは共感できました。

矢崎:この間偶然、久しぶりに『神童』(成海の映画初主演作)のDVDを観て、フッと気づいたことがあって。僕が成海さんを知ったのは『神童』のうたちゃん役で、あの映画の成海さんに恋をしたんだなって思ったんです。あの『神童』の少女は反骨精神もあり、弱い部分もむき出しにして生きているような子だった。それで響子役はどうしても成海さんにお願いしようとしたんだなって。響子は今まで成海さんが演じられてきたような強い面が表に出ているキャラクターではなく、素直で、弱い部分もすごくあって、むき出しみたいな感じで、『神童』のうたちゃんと通じる部分があった。だから、完成した『無伴奏』を観て、逆に気付きましたね。中学一年生の成海さんに恋をして、彼女を少女から大人の女性にするぞという決意を持ってこの映画に挑んだのは、そういうことなんだなって。

成海:そう、思い出しました。クランクイン前、矢崎さんと池松さんに初めて会った日に食事に行ったじゃないですか? そのときに矢崎さんが「成海さんの代表作にするつもりでいます」というようなことを言っていたんです。矢崎さん自身の代表作にもすると言っていましたけど、池松さんも「この映画は成海さんなんで」みたいなことを言っていたんです。その言葉を聞いて、私自身もすごくそういう気持ちになりましたね。

20160113-mubansou04.jpg
(c)2015 「無伴奏」製作委員会

ーー矢崎監督が言っていた“少女から大人の女性に”という意味では大胆なラブシーンもありますが、抵抗などはありませんでしたか?

成海:ラブシーンへの抵抗は特になかったです。脚本だと2行くらいなんですよ(笑)。情報量が少ないから、これは結局どういうことをやってるんだろう? って想像しながら現場に行って、その説明を受けるのが面白くて(笑)。「このシーンはこういう体位でやります!」という説明を聞いて、私は「はい…」という感じ(笑)。

矢崎:『神童』で出会った少女が大人の女性になる瞬間に立ち会えたっていう感じがして、僕にとってはそれがすごい嬉しかったですね。私が成海さんの制服を脱がしたかった。成海さんは素晴らしい俳優です。撮影をしていても、なんていい顔をするんだろうって何度も思ったし、何回か泣きました。

成海:そうですよね。知ってます(笑)。

矢崎:バレてるんだけど(笑)。でも思い出しただけでも目がウルウルしちゃいますよね。自分の映画の中に、「変化する瞬間が美しい」というようなセリフが出てくるんですよ。この作品では、その「変わる瞬間の美しさ」を、成海さんで証明しようとしたんです。この美しい成海さんを是非観てほしい。本当に成海さんは美しかった。

『無伴奏』矢崎仁司監督&成海璃子コメント

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『無伴奏』
3月26日(土)、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
出演:成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜、松本若菜、酒井波湖、仁村紗和、斉藤とも子、藤田朋子、光石研
監督:矢崎仁司
原作:小池真理子『無伴奏』(新潮文庫刊、集英社文庫刊)
主題歌:「どこかへ」Drop's(STANDING THERE, ROCKS / KING RECORDS)
配給:アークエンタテインメント
製作:「無伴奏」製作委員会(キングレコード/アークエンタテインメント/オムロ)
2015年/日本/カラー/16:9/5.1ch/132分/R15+
(c)2015 「無伴奏」製作委員会
公式サイト:mubanso.com

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる