SMAP稲垣吾郎はなぜ文系女子を虜にする? 姫乃たまが主演映画から魅力を考察

 ただ、私は映画を見ていて、どうして稲垣吾郎に心打たれるのかわかった気がします。

 食卓に“エアー加奈子”を見立てて、誰も座っていない子ども椅子に話し掛ける容子を見る時の、戸惑った視線。「僕らも新しい子どもを作ろうよ」と優しく提案しては、「あの子は帰ってくるから」と拒否されて、鈍い色に光る瞳。知人の子どもをさらった容子に置き去りにされたまま、知人達にひとりで糾弾されている時の冷めた表情。温厚とも言えるし、無意識に抑圧されているようにも見える、飄々とした魅力に、文系の女性は惹かれるのかもしれません。

 彼と同世代で、同じく板橋区で学生時代を過ごしたという男性が、「稲垣吾郎にはシンパシーを感じる」と話していました。少し上の世代がとても荒れていたため、学校の規則が厳しくなった中での学生生活だったそうです。すっかり暴力がなくなった環境下で、女生徒は伸びやかになっていきましたが、男子生徒への指導は依然として厳しく、男子生徒は大人しく飄々とした性格の子が増えていったといいます。あくまで個人的な思い出で、どこまでその通りだったのかは不明ですが、本当だったら納得してしまうような話だなあと思いました。

 はつらつと踊る男性アイドルの中で、はつらつと踊ろうとしながら、独特の柔和な魅力を振りまいている彼を、ひっそり見ていたい気持ちでいっぱいです。

■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへ精力的に出演するかたわら、ライター業ではアイドルとアダルトを中心に幅広い分野を手掛ける。そのほか司会、DJ、モデルなど活動内容は多岐にわたる。著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。
ウェブサイト:http://himeeeno.wix.com/tama
Twitter:https://twitter.com/Himeeeno

■作品情報
『桜、ふたたびの加奈子 [Blu-ray]』
価格:¥ 6,920
出演:広末涼子、稲垣吾郎、福田麻由子ほか
監督:栗村実
販売元:ポニーキャニオン
時間:106 分

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる