有村架純と高畑充希は『いつ恋』でライバルに? ヒロインたちの演技とポテンシャルを検証

 ところで、今回の月9のヒロインは決して一人ではない。若者たち6人の群像劇であるゆえ、他の女性キャストにも注目しなければならない。第1話のラストで突然登場した森川葵のキャラクターについてはこちらの記事(参考:森川葵はただの“個性派女優”ではない 『いつかこの恋を〜』で期待される役者としての地力)で紹介されているが、もう一人忘れてはならないのは、高良健吾演じる練の恋人役を演じる高畑充希である。

 4月から始まるNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主演が決まっている彼女のこれまでのキャリアを振り返ってみると、映画デビュー作となった『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』や、出世作となった『3年B組金八先生』の第8シリーズをはじめ、人気韓国ドラマの舞台版である『コーヒープリンス1号店』『美男ですね』など、とにかくショートヘアが似合うボーイッシュなイメージが強かった。

 それを一気に覆したのが、昨年坂元裕二が手がけたドラマ『問題のあるレストラン』の川奈藍里というキャラクターである。男運が悪く、いわゆるキラキラ女子の出で立ちで、同性の前では思ったことを遠慮無く口にする個性的なそのキャラクターは、これまでの彼女の演技にそれほど注目していなかった視聴者に大きなインパクトを残した。とくに、第5話で見せた「免許証」のくだりは、坂元裕二の脚本力以上に高畑充希のポテンシャルの高さをうかがわせる強力なシーンとなり、それだけで彼女はドラマ全体を独占したのだ。

 今回の『いつ恋』の第1話では冒頭にしか出番がなかったものの、わずか数秒の出演シーンで鮮烈な印象を残した。玄関先で高良健吾に「私これからぎゅうぎゅうの地下鉄乗るっちゃん」と博多弁を繰り出す彼女から漂うのは、台詞だけで表現された色気であり、それだけでこのドラマの堂々たるサブヒロインとして、メインヒロインの超強力なライバルであることを予感させた。すでに第2話の予告を見るだけでも、その予感が的中する気がしてならない。またしても、彼女がドラマ全体を独り占めするのではないだろうか。

 彼女たち3人のヒロインと高良健吾、西島隆弘、坂口健太郎。この6人で織りなす今回の月9ドラマは、今をときめく若手俳優のポテンシャルの高さを、坂元裕二の物語によって導かれた見事なアンサンブルで確認することができる。おそらく数年先にはとても重要なドラマのひとつとして語り継がれていることであろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■ドラマ情報
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』
2016年1月18日(月) 21:00~放送開始
出演者:有村架純、高良健吾、高畑充希、西島隆弘、森川葵、坂口健太郎
脚本:坂元裕二
プロデュース:村瀬健
演出:並木道子
制作:フジテレビドラマ制作センター
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/itsu_koi/index.html

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