『あさが来た』ヒットを支えるのは“意外な3人”? 物語に色を添える個性派たち

 また、加野屋の新しい事業である炭鉱にも、気になる役者がいる。その筆頭が北原雅樹だ。嘗てアイドル的な人気を博したお笑いコンビ・グレートチキンパワーズのメンバーだった彼。当時から、『未成年』など、ドラマでも強い印象を残しており、コンビ解散後は役者に専念するようになるも、2009年に活動休止。兵庫県加古川市で職を転々としていたという。そのうちに、自らのキャリアを生かすべく、地元でタレントとして復帰し、久々に全国区に現れたのが、前々クールの朝ドラ『マッサン』の漁師役だった。今回は炭鉱の納屋頭の福太郎役。なぜこんなに立て続けに、朝ドラの泥臭い現場に彼は起用されるのだろうか。それは、やはり一筋縄ではいかない人生を、彼が演技に素直に投影しているからだろう。

 『あさが来た』は、朝ドラ初の幕末からのスタート、という斬新さながら、物語は恋模様、嫁姑問題、Wヒロイン、夢に向かって猛進……など朝ドラの王道を行く、というバランスの良さが心地いいドラマだ。その王道的なストーリーを、彼らのような一癖も二癖もある俳優たちがかき回しているからこそ、本作は新鮮な作品として多くの人々に届いているのだろう。今後、彼らはどんな演技で物語に色を添えるのか、そしてさらに驚くべきキャスティングが用意されているのか。来年3月まで、本作から目が離せそうにない。

(文=高橋美穂)

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