三谷幸喜、不敗神話崩壊!? 『ギャラクシー街道』にファンからも失望の声

 その中でもよく目につくのは、三谷ファンを自認する観客からの悲鳴にも似たリアクションだ。先週末の「動員19万9340人」はかなりの比率で「三谷作品だったらなにがなんでも初日か二日目に駆けつける」という熱心なファンだろう。逆に言えば、「宇宙空間を舞台にしたコメディ」という、外国映画だと『ギャラクシー・クエスト』のように絶対に日本では当たらないような題材でも、三谷作品のブランドがあればとりあえず1位にはなるのだ。もし、『ギャラクシー街道』でその最も大切な三谷幸喜ファンの信頼を裏切ってしまったのだとしたら、これは結構深刻な事態かもしれない(すみません、自分は『みんなのいえ』を最後に、それ以降の三谷幸喜作品にまったく感心したことがないので、ファンの立場や気持ちを想像してみるしかないのです)。

 来年はNHK大河ドラマ『真田丸』の脚本に専念することになる三谷幸喜。となると、おそらく次の映画は早くても3年後の2018年になるだろうが、どこかでいいかたちでリセットをしない限り(フジテレビと一度離れる? あの極めてテレビ的な「オールスターキャスト」を一度やめてみる?)、今回失ってしまった信頼を取り戻すのは難しいのではないか。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「ワールドサッカーダイジェスト」ほかで批評/コラム/対談を連載中。今冬、新潮新書より初の単著を上梓。

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