スケールアップした“ガールズ・ムービー”続編 『ピッチ・パーフェクト2』の見どころは?

『ピッチ・パーフェクト2』の魅力分析

 本作の見どころは、何と言っても、予算と規模を拡大して展開されるアカペラのステージである。前作でお馴染みのメンバーに、『はじまりのうた』(2014年)などにも出演している新鋭ヘイリー・スタインフェルドを加えた新生「ベラーズ」が繰り広げる、華やかなライヴ・パフォーマンスの数々。その選曲も、マイリー・サイラスやテイラー・スウィフトといった昨今のヒット曲はもちろん、ア・トライブ・コールド・クエスト、ローリン・ヒルといった90年代ヒップホップ、さらにはアン・ヴォーグ、ハンソン、ジャーニー、シュープリームス、KC&ザ・サンシャイン・バンドといった懐メロまで、前作以上に幅広いものとなっている。そして、「リフ・オフ」と呼ばれる即興アカペラ・バトルのシークエンス。ラッパーのマイク・バトルさながら、「お尻に関した歌」、「カントリーソング」、「ジョン・メイヤーと付き合った人の歌」といったトリッキーな「お題」に対して、それぞれのチームが即興で楽曲を歌い上げ、そのセンスと技量を競うこのシークエンスは、まさしく圧巻……というか、ある意味爆笑の連続なのである。

 そう、この映画は、音楽映画であると同時に(あるいは、それ以上に)、かなりハイブロウなコメディ映画でもあるのだ。下ネタや人種ネタ、性差別ネタなど、きっと眉をひそめる人もいるであろうギリギリの笑いを含む、数々のジョークが幾重にも織り込まれた脚本。それを書いたのは、前作と同じく、コメディエンヌとしても活躍するケイ・キャノンだ。さらに、前作同様、アカペラ大会の女性解説者役として劇中で辛辣なコメントを吐きながら、映画の製作者のひとりにも名を連ねている“影の立役者”こと女優エリザベス・バンクスが、今回はなんと監督も担当しているのだった。もちろん、初監督作。それにしても、監督・脚本・主演のすべてが女性というのは、昨今のハリウッドでは非常に珍しいことである。しかも、興行的に成功したコメディ作品においては、なおさら珍しい……というか、ほとんど前例のない快挙と言っていいのではないだろうか? その意味でも「ガールズ・ムービー」の名に相応しい一本……それがこの『ピッチ・パーフェクト2』なのだ。

(文=麦倉正樹)

■公開情報
『ピッチ・パーフェクト2』
公開中
(c)2015 Universal Studios.
公式サイト:http://pitch-perfect2.jp/

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