メディアミックス映画の最終形態!? 『図書館戦争 THE LAST MISSION』が初登場1位

 そしてようやくです。

 本作の前作となる実写映画版『図書館戦争』が東宝の配給で公開されたのが2013年4月。今回の続編『図書館戦争 THE LAST MISSION』が公開される直前の10月5日には、同時期に製作されていたテレビドラマ版『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』がTBS系で放送された。

 ラノベ、一般小説、コミック、ラジオドラマ、WEBラジオ、アニメ映画、テレビドラマ、実写映画。およそ考えられる限りの多様なメディアと、複数の同業他社を横断して、約10年にわたってコスりにコスられ続けてきた『図書館戦争』というコンテンツ。今回の前作初動を大きく上回るヒットの直接的な要因としては、直前にテレビで放送された前作、及び完全な新作となったテレビドラマ版の宣伝効果や、2年前の前作と比較してのキャストの知名度アップ(福士蒼汰ほか)や新キャスト(松坂桃李ほか)の効果なども考えられるが、思い出すのは80年代角川映画の大規模なメディアミックスのこと(『図書館戦争』の文庫の現在の版元はKADOKAWAだし)。2015年においても、さらに規模を拡大して当時と同じような戦略が可能だと証明してみせたのが『図書館戦争』と言っていいのではないだろうか。近年の日本のメディアミックス映画のお約束のように今作のタイトルにも「LAST」の文字が躍っているが、今回のヒットを受けて、まだまだそう簡単には終わりそうにない気配である。

先週末のランキングで他に注目すべきは、初登場3位の『マイ・インターン』。土日2日間で動員13万771人、興収1億7808万2900円という成績はハリウッドのラブコメ作品としては大健闘。このところ大人向きの作品が手薄だったので、その公開時期も功を奏したか。また、公開前に監督と映画会社のトラブルが明るみに出るなどして本国アメリカで批評面でも興行面でも大惨敗してしまった『ファンタスティック・フォー』(先週末6位)は、639スクリーンで公開されたにもかかわらず土日2日間で興収1億にも満たず、同じ(?)SF作品である172スクリーンで公開された大川隆法製作総指揮の『UFO学園の秘密』(先週末5位)の後塵を拝してしまった。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「ワールドサッカーダイジェスト」ほかで批評/コラム/対談を連載中。今冬、新潮新書より初の単著を上梓。Twitter

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