北野映画の常連役者たち――『龍三と七人の子分たち』を含む全作品から出演歴を検証

北野武映画の常連役者たちを考察

たけし軍団

 ビートたけしの弟子たちにより構成されるタレント集団「たけし軍団」。北野映画においてもたけし軍団メンバーの出演率は高いが、本作では焼き鳥屋の店員役(セリフなしで焼き鳥を焼いている)にケンタエリザベス3世、終盤のカーチェイスシーンで西たちの車に当て逃げされそうになって怒る男役にガンビーノ小林が出演していた。ケンタは『アウトレイジ』(2010)のラーメン屋店員(「早く持ってけバカヤロー!」と言われ指入りラーメンを客に出すシーンが見どころ)など計3作、ガンビーノは『HANA-BI』以降計7作に登場。

 シェパード太郎もたけし軍団からの起用メンバーだが、本作が初出演となる。現在はたけしの付き人をやっているそうだ。

その他の俳優

 本作でどの役柄を演じているか確認できなかったが、関口あきら、保科光志、鈴木隆仁の3名は、それぞれ計3、3、2作の北野映画出演回数となる。関口は『Dolls』(2002)ではおめんの男、『監督・ばんざい!』(2007)ではこける警官役。鈴木は『ソナチネ』で村川組組員を演じている。

女優

 次は女優たちのケースを見ていこう。はやしだみき、鯉沼トキ、瀬戸夏実、三浦久枝の4名は本作含めそれぞれ計4、3、2、2作の出演歴。はやしだは『アキレスと亀』では電車の乗客役を演じている。また、この4人とも事務所「ラッキーリバー」所属という共通点がある。

 早撃ちのマックへの手紙を届ける看護士、カミソリのタカへの手紙を届ける老人ホーム職員はそれぞれ山本恵子、北澤清子が演じている。この二人、実は北野映画の隠れた常連女優である。元々は80年代に松本伊代のバックダンサー兼コーラスコンビ「キャプテン」として芸能界デビュー。「Be-2」として再デビューもしたが、芸能活動を辞めかけていた頃に『北野ファンクラブ』などのビートたけしバラエティ番組に「デビル・ガールズ」として準レギュラー出演。その縁もあり、『HANA-BI』の看護士A・B役をはじめ、『菊次郎の夏』(1999)、『Dolls』にやはり看護士や老人ホーム職員役で出演している。今回の『龍三〜』では久しぶりの北野映画登場となった。

アクション出演

 役名不明の西沢智治、浜田大介の二人は、どちらもアクションやスタントをメインとする俳優事務所「アーバンアクターズ」所属。二人は『座頭市』『アウトレイジ ビヨンド』に出演経験があり、おそらく殺陣やアクションシーンでの出演と思われる。その他に本作が初出演だが、赤池隆行、茂木亜由美も同事務所所属。

 また、キャスト欄ではなくスタッフ欄の「殺陣」にクレジットされた二家本辰己はアーバンアクターズの代表を務める殺陣師。本作以外にも『Dolls』『座頭市』『アウトレイジ』など計8作でその名前を見ることができる。「スタンドイン(ビートたけし)」としてクレジットされている所博昭も同事務所所属である。

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