浜辺美波は『あの花』めんま役にふさわしい? 女優としてのポテンシャルを検証

 そんな複雑な役どころを、まだキャリアの浅い彼女で果たして大丈夫なのか。前述の通り、「めんま」の演技に涙は欠かすことができない。しかし、演技において泣くことは決して難しいことではない。それ以上に、演技で笑うことのほうが難しいのである。それでも、すでに公開されている予告編で見ることができる、彼女の表情は、無垢で愛らしい笑顔を浮かべている。演技力というよりは、自然に彼女が持ち得ている表情の比重が大きく感じるが、それは子役から成長していく過程である今だからこそ許される芝居である。その芝居を軸にして、あとは彼女自身がこれまで培ってきた基礎的な演技力がどこまで発揮されるかが、大きな課題となるであろう。少なくとも、現在の10代前半の女優の中で、最も期待されている人材であると考えて間違いないだけに、今回のドラマがひとつの試金石となる。

 気になるところは、岡田麿里から替わってドラマ版の脚本を手掛けた、いずみ吉紘の手腕に委ねられている部分が大きいということだ。正直なところ、同じようにリメイクドラマの脚本という点では長澤まさみ版『セーラー服と機関銃』という悪くない作品を手掛けた実績は評価できるが、『らんま1/2』と『デスノート』を思い起こすと少々不安が残る。

 あとは周りのキャスティングも重要である。主人公格の「じんたん」を演じるのは、村上淳とUAの息子で、『2つ目の窓』での鮮烈なデビューも記憶に新しい村上虹郎。またD-BOYSのメンバーである志尊淳や、高畑淳子の長男である高畑裕太、モデルとしても活躍する松井愛莉と飯豊まりえ。彼ら5人と浜辺美波で、「超平和バスターズ」を演じるというわけだ。オリジナルファンからの賛否両論は確実にあるであろうが、若手役者をチェックする上では外せないドラマになるのではないだろうか。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

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