「月刊少年マガジンR」休刊 電子雑誌も厳しい? 月刊漫画誌の現状と行く末を考察

休刊号となった「月刊少年マガジンR」2023年2号(講談社)

 先日は100年の歴史がある週刊誌「週刊朝日」の休刊が発表されるなど、雑誌の休刊のニュースが相次いでいる。1月20日には、電子雑誌の「月刊少年マガジンR」がこの日発売された2月号で休刊が決まった。同誌で連載されていた漫画の多くはWEB新媒体「月マガ基地」や、「月刊少年マガジン」「マガポケ」などで連載が続行されるため、愛読者やファンはとりあえず一安心といったところだろう。

 しかし、電子雑誌の「月刊少年マガジンR」が休刊に追い込まれたことで、紙のみならず、電子とて雑誌が安泰ではないことがより浮き彫りになったともいえるだろう。一般的に、漫画の単行本は電子と相性が良いとされるが、様々な漫画家の作品が掲載される雑誌は電子で読まれにくいという意見もある。漫画は電子であっても、雑誌ではなく、単行本主体で読まれるようになっていくのだろうか。

 紙媒体の雑誌は依然として厳しい状態が続く。日本雑誌協会が発表したデータをもとに月刊少年漫画雑誌の発行部数を見てみよう。2022年7月〜2022年9月の3ヶ月ごとの平均印刷部数は、「月刊コロコロコミック」が33万部あるものの、「月刊少年マガジン」が18万5600部、「ジャンプスクエア」が12万6667部、「ウルトラジャンプ」が1万7667部、「ゲッサン」が1万2000部、「月刊少年シリウス」が7200部となっている。

 雑誌の発行部数よりも、連載されている漫画の単行本の売り上げの方が多い作品も多数あり、雑誌というメディアがおかれている厳しさがうかがえる。

 漫画以外の雑誌でも、紙媒体が休刊するかわりに、WEB新媒体へと移行する例が目立つ。例えば、美少女ゲームなどを扱っている「電撃G's magazine」は2022年10月28日発売の12月号で休刊したが、WEBメディア「電撃G's magazine.com」でニュースの配信は続き、同じくWEBの「G'sチャンネル」でよりコアな情報やコンテンツを配信している。また、同誌で人気のコンテンツである「ラブライブ!」シリーズを分離した、「LoveLive!デイズ ラブライブ!総合マガジン」の刊行は続いている。

 漫画が単行本で読まれるようになったように、一般誌や専門誌なども必要な記事や情報だけを抽出して読むスタイルが、一般化していくのかもしれない。もはやニュースはネットにあふれている。雑誌で幅広い情報を手にする時代はじわじわと終わりに向かっているのだろうか。しかし、雑誌の休刊が続くと、町の本屋の経営はますます苦しくなるだけでなく、店先の様子が一変する可能性もある。雑誌の在り方が大きく変わっている中、5年、10年先にどれほどの雑誌が生き残っているかも注目される。

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