老舗週刊誌「週刊朝日」が休刊 新聞社系雑誌の休刊ドミノが始まる?

週刊朝日 2023年1月27日号


 朝日新聞出版が発行する「週刊朝日」が、今年5月で休刊することが判明した。時事通信が報じた。

 週刊朝日は大正11年(1922)に創刊され、昨年2月には創刊100周年を迎えた老舗の週刊誌。戦後の高度成長に伴う出版ブームとともに急激に部数を伸ばし、昭和29年(1954)には100万部を突破したこともあった。2007年には『発掘!あるある大事典』の納豆ダイエットのデータ捏造をスクープするなど存在感を示していたが、部数減には歯止めがかからず、今回の決定となった模様。

 一般社団法人日本雑誌協会が発表している2022年7月〜2022年9月の印刷証明付部数(印刷部数公表)によると、発行部数は7万4173部。全盛期の10分の1以下まで急激に落ち込んでいた。

 先に挙げた印刷証明付部数(印刷部数公表)によると、部数では「週刊文春」がトップで47万5083万部、「週刊現代」が35万7500部、「週刊ポスト」が30万2000部、「週刊新潮」が29万4268部である。出版社系の週刊誌はまだ堅調といえるが、新聞社系は深刻な状況といえる。「AERA」は5万4491部、「サンデー毎日」は3万7520部と、大きく引き離されている状態だ。

 これを単なる雑誌離れという言葉で片付けていいのだろうか。出版社系の週刊誌に対して、新聞社系はもはや目立ったスクープ記事が見られなくなり、発信力の面でも凋落傾向にあったことは否めない。

 「週刊文春」が紙のみならずネットでも発信力を増し、「文春オンライン」は独自のスクープを連発し、広く読まれている。対して、部数が落ち込んでいる新聞社系の週刊誌は、堅実で、良くも悪くも無難な記事が多く、かつての納豆ダイエットのスクープのようなインパクトが見られない。こうした編集方針こそが、存在感を薄めている要因ではないだろうか。

 週刊誌の発行部数の落ち込みは、街を見ていればわかる。電車の中でもはや週刊誌を手にする人は、20年前には普通に見られたが、今や誰もがスマホの画面を凝視している状態である。先ほど山手線に乗ったので端から端まで歩いてみたが、雑誌を手にしている人は1人だけで、しかもそれは「週刊少年マガジン」であった。新聞を広げている人に至っては「ゼロ」であった。

 速報性ではネットメディアに勝つことができないぶん、少なくとも雑誌は独自色を打ち出していかなければ生き残れない。今回の休刊発表を機に、週刊誌や、雑誌の在り方を今一度考え直すべきではないだろうか。

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