【漫画】異色の風刺ホラー『反逆コメンテーターエンドウさん』に作者・洋介犬が込めた思い

異色のホラー風刺漫画 に作者・洋介犬が込めた思い

現時点で、なんと6作品もの連載を掛け持ちしている人気漫画家の洋介犬。ホラー漫画家のイメージが強いが、「次に来るマンガ大賞」にノミネートされた『反逆コメンテーターエンドウさん』は、異色の時事風刺漫画として反響を呼んでいる。

 周囲に一切忖度せずに意見をズバリと言い、社会問題に鋭く切り込むコメンテーターのエンドウさんは、SNS民の心を鷲掴みしている。マスコミに対する不信が続き、社会に閉塞感がある現代からこそ読みたい漫画といえよう。……と書くと、重い内容に思えるが、洋介犬ならではの絶妙なセンスで描かれるギャグや、エンドウさんの脇を固めるケンジロンなどの個性的なサブキャラクターも魅力的で、エンタメ要素も満載の漫画なのだ。

今回は、多忙を極める洋介犬にインタビューを敢行。エンドウさん誕生の裏話など、気になる話をぶつけてみた。

ホラー漫画は社会風刺と親和性が高いジャンル

――ホラー漫画を描いている洋介犬先生が、『反逆コメンテーターエンドウさん』のような社会風刺的なテーマを描かれるのは意外な気がしました。

洋介犬:今から 20年くらい前の学生時代には、社会風刺的な漫画を量産していたんですよ。ただ、漫画界も世間も「4コマ漫画はギャグオチじゃないと」という風潮だったので、仮に描いても商業化なぞ、とてもとても難しい……という状態でした。ホラー漫画は社会風刺と親和性が高いジャンルでもあるので、意図的に風刺ネタを盛り込むこともありましたが、メインで描くことはありませんでしたね。

――今は流れが変わったということでしょうか。

洋介犬:ツイッターなどのSNSが広がり、風刺的で、エモーショナルで、シリアスなショート漫画が受け入れられる土壌ができてきたんです。ちょうど、今まで描いてきたホラー漫画に何か新しいエッセンスを加えたいと感じていましたし、何よりも、こうした「風刺ホラー」と呼ばれる漫画を前からやりたかったというのが最大の動機ですね。

ワイドショーやニュースでしばし扱われる少年犯罪の問題。現実社会では感情に流されがちな報道が多いが、エンドウさんは常に冷静に意見を述べる。

――エンドウさんの顔って、一度見たら忘れられないくらいインパクトが強いですよね。これまでもホラーで印象的な顔を描いてきた洋介犬先生らしさがよく出ていると思うのですが、モデルになったコメンテーターは存在するのでしょうか。

洋介犬:外見は、評論家の須田慎一郎先生のイメージですね。いかついあのご風貌と論調が好きでモデルにさせていただきましたが、時間を経た今は、エンドウさんもだいぶ柔らかい表情になっている気もします(笑)。また、サブキャラのケンジロンは、あえて自分が好きではない人物として描き始めましたが、現在は「こういう奴がいてもいいだろ」な位置まで軟化しています。僕はあまり自分のキャラクターに感情移入しないタイプなのですが、少しは好きに寄ってきているのかもしれません。

エンドウさんのライバルのケンジロン。本質を突く発言は刃物のようにグサッと刺さるのだが、共感してしまう人も多いのでは。

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