桜井ユキが語る、1st写真集で目指したリアリティ 「恥ずかしいくらい素の表情が出ている」

桜井ユキ1st写真集インタビュー

 女優・桜井ユキは、今年デビュー10周年を迎えた。12月22日には、自身初の写真集『Lis blanc(リス・ブロン)』(SDP)をリリース。発売前重版がかかるほど期待値の高い本作は、幼少期を過ごした祖父母宅をはじめ、大分・由布院の湯の坪街道や青春時代を過ごしたという福岡市内など、彼女の思い出が詰まった場所が舞台となっている。

 女優一筋で駆け抜けた10年間。節目を飾る、初めての写真集。そこには、今までドラマや映画では見たことがないくらい、ナチュラルな笑顔を見せる桜井ユキの姿があった。本作を見返して、いま、桜井ユキは何を思うのか。撮影時の思い出と、11年目に向けての気持ちを訊いた。(とり)

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女優生活10周年に見せる“演じていない桜井ユキ”

――本作のお話を聞いたときは、率直にどう感じましたか?

桜井:とてもありがたいお話だと思いました。今年は私にとって、デビュー10周年の節目ですし、女優としてもひとつ折り返しというか、ここからまた新しいベクトルの役を求められるであろう年齢に差し掛かったタイミングでもあると実感しているので、今の自分を何かの形で残せたらと、ちょうど考えていたところだったんですよ。

 普段、出演させていただいているドラマや映画も形としては残りますが、そこに映る私は、私であって私じゃない。こうして取材を受けるときにスチールを撮っていただくことはあっても、役を背負わない状態でカメラの前に立つことは、今までほとんどありませんでした。ですから、本作の撮影はすごく新鮮でしたね。素敵な機会をいただけて、嬉しい気持ちでいっぱいです。

――自分自身をありのままに撮られることへの抵抗感はありませんでしたか?

桜井:くすぐったさはありましたね(笑)。撮影初日は特に、どうしていいか分からずで。

――今回、カメラマンを担当されているアンディ・チャオさんの写真は、とりわけ生々しさが魅力ですしね。

桜井:そうなんです。静止画のはずなのに、まるで映像を見ているかのようなリアリティを感じるんですよね。その質感を求めてアンディさんに撮影をお願いしたんですけど、実際にお会いすると、あんなにカッコいい写真を撮られるとは思えないくらい愉快な方で(笑)。明るく冗談を言いながら上手に緊張をほぐしてくださったので、最終的にはリラックスした状態で撮影に臨むことができました。

 それほど笑いの絶えない現場だったにもかかわらず、あがってきた写真は、自分で見ても「素敵だなぁ」と感じるものばかりで……。アンディさんに撮っていただけて本当に良かったです。

――その生っぽさに、10年の色を感じました。例えば、冒頭の海のシーン。桜井さんの体を覆う砂混じりの波がとてもきれいで。これがデビューしたての初々しい子の写真集だったら、青空の下、透明感のある波が押し寄せるカットを撮るんでしょうけど、この砂混じりの豊かな波が、10年の女優生活の濃度を表しているかのようにも見えたんですよね。

桜井:写真からも伝わっていると思うのですが、肉眼で見ても本当に美しいロケーションで。夕暮れどき、日が暮れるまでに撮り終えないといけない制限のなかでの撮影だったので、私もアンディさんも、より集中して臨んだシーンでした。撮影が終わったあと、全身砂まみれで大変でしたけど(笑)。

 アンディさんとも「海で撮るにしても、青空を狙ったカットは避けようね」とお話ししていたんです。ただ爽やかなだけではなく、どこかストーリー性のある写真集にしようって。まさに、その通りの写真集になったと思います。ですので、10周年の記念に作った写真集というよりは、“女優業を10年やらせていただいた先に出す意味のある写真集”になったという実感が強いですね。

ロケ地は全部、知っている場所で

――本作は、桜井さんが幼少期から学生時代までを過ごしたゆかりの地で撮影を行われたんだとか。

桜井:そうなんですよ。やっぱり10年間の活動あっての写真集ですし、自分が知っている場所で撮ってもらうことに意味がある気がしたんですよね。それで、いろいろと思い出の場所を提案させていただいたら、どれもいいロケーションだねって話になって。

――なかでも、古民家のカットが印象的でした。心なしか、桜井さんの表情も普段より幼く見えて、不思議と懐かしい気持ちになりました。

桜井:この古民家は、私が小学校に上がる頃まで住んでいた祖父母の家なんです。小中学校に通い出してからも、学校が長期休暇のとき、両親が忙しいときには、よく預けられていました。ちなみに衣装テーマは「夏休みに遊びに来た子ども」です(笑)。

――なるほど(笑)。桜井さんのルーツとも言えるシチュエーションだったんですね。納得です。それにしても、すごくきれいなお家ですね。

桜井:ありがとうございます。祖父母は既に他界しているので、誰も住んでいない家なんですが、今もきれいなままなのは、月に1〜2回、お庭の手入れ含め、両親が定期的にメンテナンスをしてくれているからなんです。当時、子どもながらに感じていた祖父母の家特有の匂いも、そのまま残っていましたね。

――ここでは涙を流されているカットもあります。

桜井:子どもの頃の思い出がたくさん詰まった場所にいる心地良さと、当時と同じ匂いに包まれながら、女優の仕事をしている自分として写真を撮ってもらっているという不思議さと。撮影中、それらの感覚が混在して、何とも言えない感情がこみ上げてきたんです。

 事前にアンディさんから、祖父母の家では感情的な表情を撮りたいとお聞きしていましたが、意識する間もありませんでしたね(笑)。この表情は、祖父母の家じゃないと出せなかったと思います。演技の外にある素直な感情を写真に収めていただいたので、10年後、20年後に見返したとき自分が何を思うのかも、今から楽しみですね。

――他には、ラーメン屋さんやバーで撮られたシーンもありますね。

桜井:そのラーメン屋さんは、福岡市内にあるお屋台で撮影しました。学生時代、私は福岡市から少し離れた久留米市に住んでいたので、友達とご飯を食べに福岡市内へ行くことに憧れがあったんですよ。高校生になると友達と「ついに私たちも心置きなく福岡の街に繰り出せる!」って、放課後、よく遊びに行っていました(笑)。そんな青春時代の記憶が蘇る大好きな街で撮っていただいたシーンなんですよね。

 バーでの撮影は、私の友人のいとこの方が経営しているお店をお借りしました。その友人は、学生時代からずっと仲良くしてくれている大切な存在で。高校時代、私と周りの友達との間で距離が生まれた時期があったんですけど、そんなときも、その子だけは、私を見放すことなく傍にいてくれたんですよね。上京後、地元の友達と疎遠になっていくなかで、頻繁に連絡を取り合っていたのもその子でした。その繋がりから、友達のいとこがやっているそのバーに、私も何度か行かせていただいて。ものすごく雰囲気のいいお店だったので、お酒を飲みながら「今度、写真集を作ることになったんだけど、ここ使わせてもらえないかな?」と言ったら、快く承諾してくれたんです(笑)。

――そうなんですね(笑)。学生時代に繋がる場所だからなのか、ラーメン屋さんやバーのカットは、親近感のある表情が印象的だったんですよ。そういう表情を見られるのも、写真集ならではだなって。

桜井:そっかぁ。そういうものなんですね。なんだか恥ずかしいです(笑)。 

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