『りゅうおうのおしごと!』は藤井三冠に追いつけるのか? ミステリアクションも充実のラノベランキング

ラノベランキング……期待のミステリとは?

 常連が強いランキングにあって気になる新シリーズが、てにをはによる作品で、26位に入った『また殺されてしまったのですね、探偵様(1)』(MF文庫J)だ。

 タイトルから思い浮かぶのは、同じMF文庫Jで刊行中の二語十『探偵はもう、死んでいる。』シリーズ。ミステリに見せかけてラブコメになりアクションになってSFにもなる『たんもし』と同様に、本作もジャンルを絞り切れない”なんでもあり”の面白さにあふれている。

 世界中で暴れていた《最後の七人(セブン・オールドメン)》と呼ばれるヴィランたちを捕らえ、刑務所に放り込んだ名探偵を父に持つ追月朔也。彼もまた、少年探偵として知られる存在だった。ある映画プロデューサーの浮気調査を依頼されて豪華客船に乗り込むが、そこで首を吊った状態の死体を発見。その直後、自身も何者かに襲われて死んでしまう……。

 そして、助手のリリテアに「また殺されてしまったのですね」と言われながら膝枕の上で目を覚ます。朔也は死んでも生き返るという父親と同じ体質の持ち主で、その後も高い場所から落下したり、首を切断されたりしながらも生き返って、起こる事件を解決していく。

 殺される際に犯人の顔を見ているだろうから解決できて当然かというと、いつも不意に襲われていて顔は確認できていないから間が抜けている。それでも、生き返ったことで犯人を焦らせ、再度の犯行に踏み切らせることができるから、事件も解決につなげられる。完売が話題になった「小説現代」2021年9月号でも特集されていた、現実離れした設定が持ち込まれた“特殊設定ミステリ”の一種としても楽しめそう。続々と朔夜の前に姿を現す《最後の七人》たちとの派手なアクションも期待できる新シリーズだ。

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