『キン肉マン』ロビンダイナスティの死闘の歴史 「名門一家」が歩んできた険しい道のりを考察

『キン肉マン』ロビンダイナスティの死闘の歴史

『キン肉マンⅡ世』(集英社)

 ヘラクレスファクトリーの校長も務める偉大で厳格な父と名門ロビン一族の血のプレッシャーに耐えきれず、グレて悪行超人になってしまったケビン。絶対的ベビーフェイスの息子がまさかのヒールデビューという展開にファンの心は躍った。前述の通り、ロビンが抱えている負の感情を、たぶん息子の前で押さえきれてなかったのだろう。そりゃグレるわな、というのも十分納得のいく理屈である。

 しかし、グレてもケビンマスクの実力は本物だった。加えて見た目もクールとあっては人気が出ないわけはない。ケビン売出しの際の戦略は、大成功であったといえよう。そしてケビンは人気先行型の超人ではなかった。ロビンダイナスティ版・火事場のクソ力と言われるメイルストロームパワーを操り、父ロビンの、そしてロビン直系の弟子であるウォーズマンからの教えを受け、ついに超人オリンピックの決勝でキン肉万太郎を倒し、ロビンマスクの悲願であった打倒キン肉一族を成し遂げたのだ。リアルプロレスでもおそらく成し遂げたものはいない、親子二代における壮大なストーリーにひとつの終止符が打たれた瞬間である。

 そしてケビンマスクは長いキン肉マンシリーズの中で、唯一のシングル無敗の超人(※2戦以上試合したものに限る)としてその名を残すこととなる。名門ロビンダイナスティの威厳は、タトゥーを背負った次世代の若者によって、さらなる高みへ至った。

 最後に、現在連載中の『キン肉マン』で、ネメシスに破れて死亡、鳥取砂丘に埋められていたロビンマスクがマンモスマンの命を受け継ぎなんと8年ぶりに復活、本編に登場した。下天した神、超神を相手にどんな戦いを見せてくれるのか、新しいロビン殺法は披露されるのか、もしくはロビンがロビンダイナスティに代々伝わる、そしてケビンの必殺技であるOLAPを繰り出すのか、いまから楽しみで仕方がない。

 余談ではあるが、レジェンドとして周囲からリスペクトされる親とグレた息子、その息子を鍛えるのは親父の弟子ーーという構図は、ウルトラセブンとゼロ、そしてレオの関係と酷似している。だからといって『キン肉マン』からネタを拝借したとは思えないが、ウルトラマンゼロが出てきたときにゆでたまご先生がどう思ったのか、機会があったら聞いてみたいものである。

■書籍情報
『キン肉マン(75)』
ゆでたまご 著
定価:484円(税込)
出版社:集英社 

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