映画化で人気再熱『胸が鳴るのは君のせい』 著者・紺野りさが語る、過去の自分に伝えたい“奇跡“

『胸君』著者が過去の自分に伝えたいこと

影響を受けたのは『ロンバケ』? 「溜めて溜めて胸キュン」がいい

――紺野先生が漫画を描くようになったのはいつからですか?

紺野:まともにコマを割ってノートに漫画っぽいものを描いたのは小学校3~4年ぐらいですね。多分、最初はラーメン屋さんに置いてあった雑誌の4コマ漫画に影響されたんだと思います。

――少女漫画じゃないんですね。最初に投稿されたのはいつなんですか?

紺野:投稿自体は大学3年生の終わりぐらいです。

――描き始めてから、投稿まで間が空いているんですね。

紺野:美術部に所属はしていたんですが、私の中でずっと漫画は読んで楽しむもので、自分がその世界に通用するとか、同じ土俵に立つみたいなことを考えてもなかったんです。でも、就職活動のときに自分の好きなことでお仕事してみたい、と思って初めてまともに原稿用紙を買って、ペンで描いたんです。それで、初投稿で担当ゲット賞という賞をいただきました。

――初めての投稿で賞を獲るのはすごいですね。

河:初回投稿だとあんまりないんですよ。

紺野:そうなんですか!?

河:光るものが最初からあったんだと思いますね。

紺野:嬉しい。正直、自分がこの業界で通用するものなのか、腕試ししたかったっていう部分があって。もしかしたら早々に挫折してしまっていたかもしれないですね。ありがたいチャンスをいただけました。

――作品を描かれる上で、影響を受けた作品はありますか?

紺野:たくさんあるんですけど……渡瀬悠宇先生の『ふしぎ遊戯』が入り口で小学館の漫画はよく読むようになりましたね。学園モノだとやまざき貴子先生の『っポイ!』。あの雰囲気がすごく好きなんですよね。学校の匂いを思い出すような、その時代の自分に立ち返れちゃうような表現法にすごく影響を受けました。でも一番キュンときたのはドラマの『ロングバケーション』ですね(笑)。もう心臓が痛いぐらいきゅんとするんです……! 全11話なんですけど、南ちゃんと瀬名くんが初めて男女の雰囲気になってキスしたのが6話目なんです。そこに至るまでの関係を丁寧に築いていく過程が描かれていて。溜めて溜めて……やっと胸キュンシーンっていうのが、私にすっごい刺さるんだと思います。

河:紺野さんは、関係性が変わっていくっていうところに多分萌えを感じるんですよね。恋じゃない関係性が恋に変わる瞬間みたいな。

紺野:多分そうだと思います。どうしよう、性癖がバレる(笑)!

――連載を重ねてきて、当時の自分に言いたいことはありますか?

紺野:当時は「今は良くても、3年先、5年先、生き残っていけるのかな」と不安だったり、自信がない、これでいいのかとか、独りよがりな漫画になってないかっていうことは常に考えて悩んでいました。でも、『胸君』の連載をさせていただいたときに読者の方からのアンケートやお手紙が届くようになって。1人で壁打ちしてるわけじゃなくて、誰かがどこかで受け取ってくれてるんだなということを感じて、力になりました。そこに至るまでが長かったんですが、奇跡が待ってるから頑張ってって言ってあげたいです。

――映画を観たことがきっかけで原作を読む方もいると思うのですが、最後にその方たちに向けてメッセージをお願いします。

紺野:7年前に連載が終わったものを、またこうして話題にしてもらえる状況が本当に嬉しいです。映画がきっかけで読んでださった方にとっては、映画と原作ではイメージが違うものもあるだろうなとは思います。でも、映画でドキドキしてくださったのだとしたら、漫画でも間違いなくキュンとしていただけると思うので、読んでいただきたいですし、その上で、感じたことを教えてもらえると漫画家冥利に尽きます。

■書誌情報
FCS『新装版 胸が鳴るのは君のせい』全6巻(ベツコミ)
著者:紺野りさ
出版社:小学館
定価:499円
出版社サイト

FC『AM8:02,はつこい』①(ベツコミ)
著者:紺野りさ
出版社:小学館
定価:484円
出版社サイト

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