『DEATH NOTE』『東京喰種』『HUNTER×HUNTER』……闇堕ちした主人公、一番ダークなのは?

図らずも闇堕ちしてしまった主人公4選

漆間俊/『十字架のろくにん』

『十字架のろくにん』1巻(講談社)

 『別冊少年マガジン』で連載中の『十字架のろくにん』の主人公である漆間俊。彼もまたある事件によって人格を歪められてしまった、理不尽の被害者だ。

 心優しく他人や動物を大切にする漆間は、突如5人組の同級生からいじめのターゲットにされてしまう。心苦しくもいじめの事実を家族に打ち明ける俊。しかし転校も決まったある日、彼の家族は殺人に異常な興味を持つ5人によって殺されてしまう。そして何もかもを奪われた俊は、人の殺し方を知る秘密部隊出身の祖父の元、復讐を誓うのだった。

 祖父から殺人技と拷問方法を叩き込まれ、復讐に臨む俊。この俊の復讐方法がなんとも酷たらしい。彼は身体の前面の表皮を全て剥ぎ、むき出しの神経に改造エアガンの弾を撃ち込む。無垢な少年は、復讐心によって残忍な悪魔と化したのだ。

ゴン・フリークス/『HUNTER×HUNTER』

『HUNTER×HUNTER』1巻(集英社)

 『週刊少年ジャンプ』が誇る、王道ファンタジーアクション『HUNTER×HUNTER』。冒険と異能が飛び交うまさに王道の少年漫画である本作だが、珍しくも主人公であるゴンは凄惨な事件によって闇堕ちを経験する。

 元々危うい主人公として登場したゴンだったが、闇落ちしてしまったのが「キメラアント編」である。恩師であるカイトが敵幹部のネフェルピトーによって弄ばれたゴンは、彼にカイトを治すように迫る。しかしカイトには外道な振る舞いを見せたにも関わらず、コムギを懸命に助けようとするピトーに、ゴンは怒りを露わにしていた。瞳は暗い闇へと沈み、親友であるキルアにも冷たく当たるゴン。そしてカイトが死んでいると知ったゴンは、我を失い全てを無に帰す覚悟で、ピトーを原型が無くなるまで殴り続けた。

 仲間を大切にし、純粋な心が魅力的だったゴン。しかし彼はその純粋さ故に、深い闇へと心を堕とすことになったのである。

 主人公でありながら負の感情に身をまかせ、闇に身を堕とすキャラクターたち。彼らには明るく元気な主人公とは、また違った魅力がある。衝撃的な体験によって変貌を遂げたキャラクターが、様々な結末を迎える。そんな闇堕ち主人公に興味がある人は、ぜひ他作品もチェックして欲しい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる