『ゆるキャン△』『スーパーカブ』『ダンベル何キロ持てる?』……「女子高生×趣味」漫画の魅力とは?

「女子高生×趣味」漫画の魅力とは?

『ダンベル何キロ持てる?』(1巻)

 そして「女子高生×趣味」で、その特性が特に発揮されている作品。それが2016年から小学館のコミックアプリ「マンガワン」や漫画配信サイト「裏サンデー」にて連載中の、『ダンベル何キロ持てる?』だ。

 趣味である放課後の食べ歩きに興じる女子高生・紗倉ひびきは、一緒に帰る友人の「また太った?」という一言に戰慄する。自宅に帰り体重計に乗った後、再度戰慄するひびき。遂にダイエットを決心した彼女は、駅前に新しく設立した「シルバーマンジム」に入会することに。才色兼備のお嬢様・奏流院朱美と鉢合ったひびきは、ジムの中でとんでもない光景を目にする。それは目をギラギラと輝かせこれでもかと負荷を掛け筋トレをする、屈強な男たちの姿だった。シルバーマンジムはボディビルダーや格闘家が通う、ガチのトレーニングジムだったのだ。ひびきが適当な理由を付けて帰ろうと話すも、朱美は目にハートを浮かべ息を荒くしている。“筋肉フェチかよッ!!”とツッコミを入れるひびき。彼女はこれをきっかけに、筋トレの世界に足を踏み入れるのであった。

 本作は上に記した要素を全て含んでいる作品である。主人公のひびきは筋トレに関して完全なる素人だ。そして準ヒロインである奏流院は、筋肉と運動が大好きなキャラクターである。作中では奏流院やトレーナーがひびきに教える形で、細かい筋トレ知識を描く場面が随所に散りばめられていた。また世の中の人間の多くが、女子高生に筋力トレーニングのイメージを持っていないだろう。よって「女子高生×筋トレ」には作品を盛り上げるギャップと真新しさがある。そのため『ダンベル何キロ持てる?』は漫画好きでも筋トレ好きでも楽しめる作品になっているのだ。

 数々の名作を生み出す「女子高生×趣味」の作品。このジャンルには「女子高生のイメージ」「ギャップ」「真新しさ」を活かした、作り手の工夫が随所に散りばめられている。常にトレンドに寄り添い、ムーブメントをを生み出す女子高生。やはり時代の最先端はいつの時代も彼女達なのかもしれない。

■青木圭介
エンタメ系フリーライター兼編集者。漫画・アニメジャンルのコラムや書評を中心に執筆しており、主にwebメディアで活動している。
 

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