『東京卍リベンジャーズ』は2020年代の『SLAM DUNK』? 両作の共通点を探る

『東京卍』に感じる『SLAM DUNK』感とは?

『SLAM DUNK』との共通点

『SLAM DUNK 新装再編版(1)』(集英社)

 往年の「週刊少年ジャンプ」の代名詞とも言える『SLAM DUNK』だが、連載当初、その絵柄、ノリ、また題材に他のジャンプ漫画とはいい意味で異質な何かを感じた読者も多いはずだ。『東京卍』もまた同様。作者・和久井健が「週刊ヤングマガジン」出身ということはあるにしても、「週刊少年マガジン」においてはいい意味で異質。スポーツものもヤンキーものも定番ながら、その中で洗練されて最先端のものとして出てきた、新しくも懐かしい王道作品が両作だ。

 女の子がきっかけで戦いのど真ん中に飛び込んでいって、さまざまな仲間やライバルと出会いながら、成長していく。そうした点でも『東卍』は『SLAM DUNK』と重なるところがあるが(ちなみに主人公の名前の“道”つながりも)、もちろん物語も作風も全然違っていて、真似でもなければ後追いでもない。いや、いつの時代も男女問わず魅せられる“決して引かない男の美学”は確かに通じる。逆を言えば、違うのにどこか通じる『東卍』は、20年代の『SLAM DUNK』たりえる作品なのだ。

 未見の人には、また周囲へのお勧めコメントに困っている人には、ぜひこう言いたい。ヤンキー漫画でもSF漫画でもくくれない『東卍』は、『SLAM DUNK』の“あの感じ”が蘇るような漫画で、イマドキの王道がそこにはあるよ、と。

■渡辺水央
ライター。映画、コミック、アニメーションなどのエンタテインメントについて執筆。『キャラクター』(6月11日公開)などの宣伝ライティング・劇場パンフレットも手掛ける。

■書籍情報
『東京卍リベンジャーズ(22)』
和久井健 著
定価:528円(本体480円+税)
出版社:講談社
公式サイト

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