『チェンソーマン』デンジ、主人公としての新しさとは? ”異質”なジャンプ漫画の魅力

”異質”なジャンプ漫画『チェンソーマン 』の魅力

 連載当初はその衝撃の内容から話題を呼んだ『チェンソーマン 』。そんな本作の1番の魅力は、なんと言っても“ジャンプらしくない主人公”だろう。主人公・デンジは、ヤクザの下請けの、借金を抱えた孤児”として登場した。ジャンプ作品において両親がいないなどの設定は珍しいものではなかったが、デンジのようにただ”普通”の生活を夢見る主人公というキャラクター設計は驚きだった。またデンジは学校にも通っておらずしっかりとした教育を受けていないため、感情的で非道徳的な振る舞いを多々見せる。従来のジャンプ作品でも破天荒で自分勝手な主人公は数多く描かれたものの、彼らには彼らなりの信念にのっとった行動基準があったように思う。しかしデンジにはそれがないのだ。好きな女性がいても簡単に他の女性になびき、子供のように信念がブレる。しかしそんなデンジも人間らしい生活を送り仲間と過ごすうちに、人間らしさを取り戻していく。そして1部の最後では、とうとう人に求められる喜びを知るまでに成長した。

 また『チェンソーマン 』はデンジの存在を含め、少年誌とは思えない攻めた描写の数々も魅力の1つだ。何せ1話で主人公がバラバラ死体にされる位で、本作には少年誌ではタブー視されやすい“グロテスクな描写”や“性的な描写”が、NGラインギリギリで登場する。しかし物語の軸はしっかりと“主人公が変身して悪と闘う勧善懲悪”であり、その“ジャンプらしくない内容”と“ジャンプらしい物語”の絶妙なバランスが、『チェンソーマン 』が読者を惹きつける大きな魅力となっている。

 第2部の連載はもちろん、アニメの放送も待ち望まれる『チェンソーマン 』。ジャンプ作品に関わらず漫画原作の場合、原作よりもアニメの方がマイルドな表現になるのが一般的である。本作のアニメはどのように地上波へ映し出されるのか。『チェンソーマン 』の良さを最大限引き出す映像化を願いながら、放送のときを心待ちにしたい。

■青木圭介
エンタメ系フリーライター兼編集者。漫画・アニメジャンルのコラムや書評を中心に執筆しており、主にwebメディアで活動している。

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