EXILE / FANTASTICS 世界が語る、“BOT沼”の深さ 「10年以上かかる予感がしています」 

世界が語る、“BOT沼”の深さ

色々とまだ隠された秘密があります

ーーでは、「BOT」に登場するテクウについて聞かせてください。テクウはAstro9のメンバーであり、「コンバージョン」というスキルを使い、炎を操ることのできるキャラクターです。

世界:自分がもともと炎系のキャラクターが好きというのもあるんですけど、炎って明るさだったり温度だったり色だったりで雰囲気が変わるし、色々なことが表現できると思うんです。他の能力、例えば「気」を操るとかも考えたんですけど、それで「テクウ」だと、あまりにも「オラ」というか……。

ーー「オッス、オラテクウ!」的な……。

世界:そうです。小説を読む上でも声が野沢雅子さんがなるじゃないですか(笑)。だから気系はやめようと。

ーーちなみに、一番好きな炎を操る既存のキャラクターは?

世界:キッズの頃からゴジラが好きなんです。熱戦を吐いて、物が溶ける描写が好きだったんです。怖いけど、とても魅力的で。『鬼滅の刃』の煉獄さんや、『幽遊白書』の飛影も好きですし、『炎炎ノ消防隊』も好きですけど、やっぱりゴジラに一番インスパイアされています。

ーーなるほど、テクウ自体のキャラクターは、飄々としていているけれど、ご自身の性格に近い部分はあるのでしょうか?

世界:テクウさんは軽口を叩くようなタイプですよね。僕はあまり彼にに自己投影していないんですよ。

ーー「さん」づけするくらいは遠いと。

世界:僕とは心の距離は意外と遠いですね。今後ふとしたきっかけで急激に仲良くなるかもしれない。そんな気がしています。あんまり自己投影しすぎると、僕のエゴがすごくなってしまいそうで。あんまり「僕」すぎると、観てる人、読んでる人に「世界じゃん」って言われちゃうと、想像力を限定してしまって面白くない。彼らには彼らの世界があるし、そこを生きて欲しいと思っているので。

ーーなるほど。先程、一昨年幕張メッセで開催された『BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~』の段階では「BOT」には決まってないことも沢山あったとおっしゃっていましたが、テクウも当時と比べて変化はあったのでしょうか?

世界:そうですね。色々とまだ隠された秘密があります。たとえば小説だとカタカナ表記ですけど、漢字の名前もあるんです。キャラクターのフルネームはまだ誰のものも公開されてないですし。多分苗字があると思うし、ない人もいるかもしれないけど。名前だけでなく、本心もまだ隠していると思いますし。過去は明かされてないわけですから。もしかしたら別のグループのメンバーとつながりや因縁があるとか。テクウさんにはファンの皆さんの心をかき乱してほしいキャラクターなんですよね。

ーーかき乱したいとは。

世界:「#テクウしんどいみたいな」みたいなハッシュタグが生まれるくらいの(笑)。あくまでフィクションですから、皆にいなくなってほしいと思われるくらいのキャラクターにしたいですね。

ーーメンバー同士でキャラクター作りや設定については相談したり話し合ったりすることはあるのでしょうか。

世界:それはあります。まず名前をつける段階で「皆どういう名前にした?」と、それぞれが恥ずかしそうに発表することがあって、あれは面白かったですね。

 慧人のケインは名前からとったのかな、大樹は前々から「名前はイタルにする」って決めてたみたいで。僕は3文字が良かったんです。「週刊少年ジャンプ」が好きなので、ジャンプのマンガの主人公のような名前にしたくて。ちょっと「悟空」っぽすぎたかな? と反省しているところはあります(笑)。でも、単にオマージュだけではないというか、名前の意味もきちんと考えて作ってますよ。

ーーまた、株式会社クラフタースタジオの手によって、4つのチームそれぞれの3DCGアニメーションMVも制作されました。とくに世界さんはモーションキャプチャの研究開発にも深く関わっているそうで。

世界:ありがたいことにお話をいただいて、スタジオの方にも何度か伺わせていただいて、「現実のダンスに遜色なく、かつアニメの良さを引き出せたらいいですよね」という話をしました。

 やっぱりLDHはダンスを武器にしているので、ダンスのアニメーションに関しても誰もやったことないことをやりたい。ダンスの質感や重力を感じさせるものを作りたかったので、かなり試行錯誤して、僕も制作されたアニメを観ながらこの動きをする場合、ここの関節の部分がこうなっています」と、実際に動いて説明したりして。すごくディテールの細かい部分をクラフターさんと話し合うことができたので、公開がすごく楽しみです。

 それに、完成前のテスト動画をEXILEのメンバーに観てもらう機会もあったんです。皆「おお~すげえ!」と驚いてくれて、すごく嬉しかったですね。これは僕の個人的な願望なんですけど、今「BOT」はJr.EXILEだけですけど、今後はもっとLDHの人たちに関わってほしいんですよね。

ーーこれまでのLDHのライブでもARなどの技術は使用されていましたし、ダンスを軸としたエンターテイメントと最新テクノロジーというのは、LDHがずっと続けてきたアプローチでもあります。そういった意味でも「BOT」はエンターテイメントの新しい実験場になるのではないでしょうか。

世界:そうですね。試したいテクノロジーがある方は、ぜひご連絡いただければ(笑)。それこそ、Astro9がいる「アストロパーク」は、エンターテイメントパークなので、色々なことができそうです。日本の企業だけでなく、世界の企業ともやりたいですね。

ーー最新テクノロジーを活用する一方で、小説というある種の古典的なフォーマットで作品を発表するのも、新鮮ですね。

世界:最初に「小説を出します」と聞いた時に「新しいな」と思いました。小説が原作というわけでもありませんし。今のコンテンツって、小説からマンガになってアニメ化されるプロセスがひとつのセオリーになっているけれど、僕らは最初に音楽があるんですよね。音楽が根底にあって、そこからライブ、小説、アニメと派生していった。逆にこの小説から音楽が生まれることもあるかもしれないし、ライブに紐付いた物語が生まれるかもしれない。そうやって樹みたいに「BOT」の世界が広がっていくんですよね。

■書籍情報
『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』
著者:月島総記
発行元:角川文庫
価格:640 円(税別)
発売日:2021年2月25日(*地域・店舗により若干異なります)

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