『末期ガンでも元気です』著者ひるなまが語る、ポジティブに生きる秘訣 「執筆・創作という生業のおかげ」

闘病漫画が大ヒット、ひるなまインタビュー

「家族に自分抜きで生活を営んでもらうこと」

――最終話で、パートナーの方が、以前はまったく家事をしていなかったという記述がありました。以前と今とで、パートナーとの関係はなにか変わりましたか?

ひるなま:これは、ひとつの大切なテーマかもしれません。家事をワンオペで担ってきた人間が病気になった時、実は自分の体のこと以上に大変なのが「家族に自分抜きで生活を営んでもらうこと」じゃないでしょうか。今の自分の負担を減らすだけでなく、いずれ病状が悪化した時に残された家族が困らないようにする必要があります。それまで私達夫婦も、共働きなのに家事はすべて私一人の担当でした。夫は「男は厨房に入るべからず」というご家庭に育ち「家事なんて大した労働じゃないんだから投資は不要」と言って憚らず、私もそれを放置していたのです。

 私が倒れたことで夫は本気で家事を学び始めてくれ、今ではほどよく家事の共有が進み、家電の導入や買い物もスムーズになり私のストレスは格段に減りました。共有事項が増えたことで夫婦の会話も増え、また夫は料理や食への興味が深まったようで蕎麦や珈琲などの趣味もでき、以前よりお互いに楽しい時間が増えました。この点は怪我の功名と言えます。

――配信で読んでいた読者は、単行本にどんな情報が追加されるのか気になっていると思います。加筆されたのはどんなことでしょうか。

ひるなま:各話の後ろに当時の裏話なんかを少し書かせていただいています。そして、現在の私の病状というか治療の進展について何点かご説明と、あとはついこのあいだ術後1周年記念の大腸内視鏡検査をした日のエピソードを少し、あとがき漫画として描かせていただきました。これは紙の本でも電子書籍でも収録されていますので、お好きなほうでお読みいただけます。

――今後、発表される作品の予定はありますか?

ひるなま:今のところまだ決めていません。そろそろ本命のBL作品が描きたいけど、でも当作はせっかく沢山の方が注目してくださるコンテンツになりましたので、私が元気に生きている限りは見てくださる方への恩返しと思って続けていきたいとも思っています。

――では、続編の可能性があるのですね……!

ひるなま:ありがたいことに、担当編集さんからはぜひ続きをと言っていただいています。今回作品に入りきらなかった細かいエピソードはたくさんありますし、今後も闘病生活は続きますので、何かしらの続編が出せたらいいなとは考えています。こんな先々のことを考えられるようになったのも、1年前からすると夢のようです。治療に耐え続けている自分の体と精神を、この先も維持できるよう頑張っていきますので、どうぞ温かい目で見守ってください。

■書籍情報
『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる』(POLARIS COMICS)
著者:ひるなま
出版社:フレックスコミックス
価格:本体1,000円+税
COMICポラリスURL:https://comic-polaris.jp/daicho/

(C)ひるなま/COMICポラリス (C)フレックスコミックス

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