『呪術廻戦』東堂葵は最強の変態? たくましい妄想力と冷静な分析力のギャップ

『呪術廻戦』東堂葵は最強の変態

 ただ、強さに比例するかのように変わり者度合いも高い。とにかく妄想力が凄まじいのだ。東堂は長身アイドル、高田ちゃんの大ファン。握手会に通いつめ、出演番組はリアルタイムでチェックしつつ、録画もするというほど気合いを入れて推している。

 そして、戦闘の最中でも高田ちゃんが出演する妄想を繰り広げているのである。例えば、京都姉妹校交流会で特級呪霊の花御が繰り出した種子を使った攻撃を受ける直前。「俺が本気で固めた肉体と呪力ならばこの程度の種子!!弾いてみせるさ!!」と考えた直後、高田ちゃんが登場。

『呪術廻戦』(1巻)

 わずか0.01秒の間に脳内の高田ちゃんと状況分析をして、種子が呪力を吸う可能性があるという答えを導き出していた。あまりにも独特の世界観を持っているがゆえ、伏黒には「もしかして頭の中身までパイナップルなのか?」、禪院真依には「しっかりイカれてんのよ」と言われたり、交流会での野球対戦で禪院真希がデッドボールを東堂に当てると全員から「ナイッピー」と声が上がったり、周りから若干疎まれているところもいい味を出している。

 一見すると“脳みそ筋肉”キャラの東堂だが、実は頭脳派というギャップもある。先に上げた高田ちゃんの妄想然り、戦いでは常に相手を分析し続けており、虎杖を強くなったのも東堂に依るところが大きい。京都姉妹校交流会での花御との戦いでは、虎杖を鼓舞し、黒閃を自分の意志で繰り出せるまでに引き上げていたし、渋谷事変でも虎杖の戦意を戻し、真人の動きを冷静に分析。肉体にダメージを受けるとわかりつつも、緻密な分析のもと虎杖のアシストをして、勝利へ導いていた。これぞ、一級呪術師たる所以なのだろう。

 憎めないキャラクターと独特の世界観、そして確かな実力と冷静な分析力。類まれなる才能を持つ呪術師に欠かせない要素を併せ持つ東堂が愛されるのも納得だ。原作では渋谷事変で大きなダメージを受けたが、命に別状はない様子。複雑な思いを抱える虎杖を、再び助けるのは東堂……なのかもしれない。そんな期待をしながら、続編を楽しみにしたい。

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