岸辺露伴の「だが断る」だけじゃない! 『ジョジョの奇妙な冒険』珠玉の名言5選

『ジョジョの奇妙な冒険』名言5選

「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!(第5部『黄金の風』 第53巻より)

『ジョジョの奇妙な冒険』(53巻)

 その端正なビジュアルと、兄貴としての面倒見の良さからカリスマ的人気を誇るプロシュートのセリフ。まだマンモーニ(ママッ子野郎)な弟分のペッシにギャングとしての心構えを行動で教えるため、グイード・ミスタの脳天を拳銃で打ち抜く前に放つ一言だ。後に、プロシュートはブローノ・ブチャラティとの一騎打ちで叩きのめされるが、列車にしがみつき瀕死の状態でスタンドのザ・グレイトフル・デッドを発動する。その覚悟ある行動にペッシは言葉の意味を心で理解し、急成長。自信に満ち溢れた風貌のペッシはプロシュートの意志を遂げようと、ブチャラティを苦しめることとなる。

 「ブチャラティ VS プロシュート&ペッシ」戦は名言の宝庫であり、かの有名なブチャラティの「覚悟はいいか? 俺はできてる」「アリーヴェデルチ(さよならだ)」もこのバトルに出てくるセリフ。「覚悟」とは第5部に通底している精神であり、その心のあり方はプロシュートのセリフにも滲み出ている。言わば、覚悟の強さが上なのはブチャラティだったというわけか。

わたしは「結果」だけを求めてはいない(第5部『黄金の風』 第59巻より)

 死にゆく意識の中で、レオーネ・アバッキオに警官時代の同僚が投げかけるセリフ。以下、全文。

「そうだな…わたしは『結果』だけを求めてはいない。『結果』だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…………近道した時、真実を見失うかもしれない。やる気も次第に失せていく。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな……………違うかい?」

 相棒を死なせてしまった汚職警官として、外すことのできない十字架を背負い、身も心も暗黒へと落ちていったアバッキオ。けれど、彼は決して正義の心を捨ててはいなかった。死に際にはボス(ディアボロ)の大きな手がかり(真実)を残し、魂となって消えてゆく。そして、相棒の言葉はこう続く。

「アバッキオおまえはりっぱにやったのだ。そしておまえの真実に『向かおうとする意志』はあとの者たちが感じとってくれているさ。大切なのは…そこなんだからな…」

 これは、「結果」だけを残すディアボロのスタンド「キング・クリムゾン」に対するアンチテーゼのような言葉だ。「真実から出た『誠の行動』は決して滅びはしない」。ディアボロとの最終決戦でジョルノ・ジョバァーナは、旅路で亡くなっていった仲間の行動や意志を受け継ぎ、ディアボロをどこへも向かうことすらできなくする。「苦難の道」にも何か意味があるかもしれない。運命に抗う奴隷というのは、第5部の大きなテーマ。そして、受け継がれる意志とは現在も連載中の『ジョジョリオン』にまで継承されている魂、人間讃歌である。

「納得」は全てに優先するぜッ!!(第7部「スティール・ボール・ラン」 第8巻より)

屈指の名バトルとなるリンゴォ・ロードアゲイン戦での、ジャイロ・ツェペリのセリフ。死刑を執行する宿命を背負ったジャイロは国家反逆罪で捕まったマルコの無罪を信じ、彼を救う手段である「国王の恩赦」を得るためにレース「スティール・ボール・ラン」に参加した。リンゴォを前に、幻影となって現れた父・グレゴリオ・ツェペリが全ては「感傷」が原因であると、ジャイロを引き止める。そこでジャイロが言い放つのが下記のセリフだ。

「オレは「納得」したいだけだ。「納得」は全てに優先するぜッ!! でないとオレは「前」へ進めねえッ! 「どこへ」も!「未来」への道も! 探す事は出来ねえッ!!」

 ジャイロの過去が描かれる第4巻で「この任務を我が心の『誇り』としたい!」「『納得』は『誇り』なんだ!」と発言している通りに、彼の中での「納得」はレースにおける最重要テーマ。「納得」のために、公正なる「果し合い」を申し込んできたリンゴォの「男の世界」へと足を踏み入れていく。激闘の末、「対応者」から一歩「光輝く道」に進んだジャイロは、やがて「納得」に通じる遺体集めをレースの目的としていく。

 また、ドラマ『岸辺露伴は動かない』で岸辺露伴を演じた高橋一生は、この「『納得』は全てに優先するぜッ!!」のセリフに感銘を受け、「僕は『自分がどれだけ納得するか』こそが説得力だと思っているので、それをいつも自分の根底に据えてお芝居をしてきたつもりです」とインタビュー(『ウルトラジャンプ』2020年12月特大号より)で答えている。荒木飛呂彦が描くキャラクターはみんながマイノリティ、だからこそ自分たちの世界観をぶつけ合う登場人物に勇気付けられるのだと。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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