あの海原雄山が認めた「キャベツのスープ」とは? 『美味しんぼ』至高の料理4選

『美味しんぼ』海原雄山が認めた料理4選

キャベツのスープ(44巻)

 自らの披露宴が「究極対至高」の場になった山岡と栗田は料亭・岡星で、作戦会議を行う。

 ここで栗田は「究極のメニュー」を完成させるためには山岡が忌み嫌う雄山の協力が不可欠だと話す。山岡はこれに反発し、「雄山なんかくそくらえだ。この期に及んでそんな事言いだすとは裏切りだよ。結婚も考え直さなきゃな」と怒り、店を飛び出してしまった。

『美味しんぼ』(44巻)

 「岡星」の冬美は、「栗田さんがよくない」「性急にそんなことを山岡さんに求めるのは無理だ」と指摘し、栗田も非を認めて落ち込んでしまう。困った栗田は偶然会った雄山に「究極のメニュー作りに協力してほしい」「山岡さんと仲直りするにはどうしたらいいか教えてほしい」と、懇願する。

 雄山は激怒し、栗田は「何もかも自分でぶち壊してしまったみたい」と肩を落とすが、そこへ中川が駆けつけ、雄山から預かった「重よし」という店に行くように書かれた紙を渡す。

 2人の前で出されたのは、お椀に入ったキャベツのスープ。山岡は「この汁のだしが凄い」と驚き、栗田も「旨味の要素がいくつも混ざり合っている」と褒める。そして作り方を尋ねると、店主は北大路魯山人の白菜スープからヒントを受けたもので、鶏ガラから肉を徹底的に削ぐのが、味の秘密であることを明かし、「海原先生にも大変気に入っていただきました。『至高のメニュー』の中に加える価値があるとおっしゃって……」と語った。雄山も、この味を高く評価していたのだ。

 雄山のモデルとなった北大路魯山人の料理をアレンジしたキャベツのスープ。その味を彼はかなり気に入っているようだ。

ボウゼの寿司(45巻)

 年に一度コハダの新子の寿司を食べることを楽しみに生きている老人を見た山岡は、「究極のメニュー作り」に疑問を持ち、「意味がないものだった」「辞めたい」と言い出す。

 栗田はまたも雄山を頼り、美食倶楽部へ行き「山岡さんを考え直させてください」と頼む。「放っておけ」と突っぱねる雄山だったが、北大路魯山人の伝記を書くために、栗田から東西新聞社で保管されていた内密に持ち出した資料を受け取っており、その際に約束した「ご褒美」をもらっていなかったことを指摘されてしまう。

 半ば強引に協力を得た栗田は、山岡を徳島へと連れ出す。訪れたのは雄山が紹介した『青柳』という店で、提供された料理はボウゼ(イボダイ)の新子を使った握り寿司。口に入れた山岡は、その鮮烈な味に驚いてしまう。

 そして店主から単純に見えるボウゼの寿司に様々な技法が使われていることを教えられた山岡は、単純に見えたコハダの新子の寿司にも実は料理の粋を尽くしたものだったことを忘れていたとして、究極のメニュー作りを再開することを誓った。

 万事うまく行ったあと、栗田が美食倶楽部を訪れる。雄山は「あんなクズにボウゼの寿司は過ぎたものだったな」とバッサリ切るなか、栗田は『青柳』でもらったボウゼをしめたものを手土産として、差し出す。

「余計なことを。徳島に行く楽しみが減るではないか」と文句を言う雄山に「そうですか、では持って帰ります」とうそぶく栗田。雄山はおチヨに、台所に下げるよう命じた。

 あの雄山が「楽しみ」とまで評価したボウゼの寿司。徳島の『青柳』は実在店舗で、実際に味わうことができる。

雄山絶賛の料理を味わってみよう

 雄山絶賛の料理は自分で作る、あるいは店舗を訪れるなどして味わうことができる。これを機に実際に試してみると『美味しんぼ』の新たな魅力に気づけるかもしれない。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる