ほうとう、ベーコン鍋、ポトフ……『美味しんぼ』心も体も温まるメニューで冬を乗り切ろう

『美味しんぼ』冬に食べたい料理4選

ポトフ

 安価な食材で、温まる料理として紹介されたのがポトフだ。きっかけは、山岡と同期入社で、その後別の会社に引き抜かれ、現在社長になったという赤森と山岡が再会したこと。

 赤森は事業に失敗し、再起を目指して新事業を始めるため、資金集めに奔走。その結果、投資してくれそうな人物を見つけ、「君の人間性を知りたい」と告げられたことを明かし、料理で応えるため、山岡に協力を求めた。

 その後赤森は「ぜいたくな料理が必要だ」と、再び資金集めに走る。様子を見た妻・真澄から報告を受けた山岡は、赤森に「お前が考えていることは他人に気に入られることだけじゃないか」などと説教する。

 「三流大学出で、最低成績で大食らいしか取り柄のないお前にこんな説教されるとはな…」と憎まれ口を叩いた赤森だったが、自身の過ちを認め、「安くて美味しくて身も心も温まってホッとするようなものが食べたいなあ」と山岡にリクエストした。

 山岡は「そんな調子のいいものがあるかよ」と怒るが、栗田は「あるじゃないの。フランス料理の真髄と呼ばれるものが」と笑う。そして、赤森は、日本料亭で有力者と会い、ポトフを提供する。

『美味しんぼ』(53巻)

 「つまらんもん」と話す有力者だったが、使われていた食材は牛肉やニンジンなどの野菜すべて良質で、その味を褒める。そして赤森はポトフを出した理由を聞かれると「お金のない私ができるのは自分の身体を使うこと」などと話す。結局この有力者は赤森を認め、投資することになった。

 ちなみにこの有力者は、山岡と懇意の京極万太郎。山岡は「赤森に投資するという怪しい人物は京極さんだったのか」と驚いた。(53巻)

 ポトフは調理方法が比較的簡単でありながら奥が深く、様々なレシピがあることでも有名だが、簡単に作れる料理でもあるので、日々忙しく過ごしている人にお勧めしたい料理だ。

縁起のいい鍋

 正月、大原社主の家で用意されたおせち料理に、孫がヘアスプレーをかけてしまい、料理をダメにしてしまう。

 家で宴会中だったにもかかわらず、なぜか大原社主に呼び出された山岡と栗田、そして1人身の寂しさからテルコも同行する。山岡と栗田は大原社主から世界新聞協会の幹部を招いた会があるため、「なんとかしてほしい」と告げられる。

 その場に同席した大原社主の妻が呼び寄せた料理人・中本と協力するよう求められるが、中本は「素人と一緒に仕事はできない」「材料と助っ人の手配はする。あとはせいぜい腕自慢を見せてください」と出ていってしまった。

 「腕自慢」という言葉に激怒した山岡はうずらのぶつ切りやアスパラ、一口かつなどを串で刺したものと、コンロに油の鍋を乗せたものを会の参加者分用意する。そして「油に揚げるところにかけて、揚がり鍋です」「いいことずくめがやってくるという大変にご利益のある鍋です」と説明し、「縁起のいい鍋」を振る舞う。

 参加者たちは用意された食材の刺さった串を自ら揚げ、その味と趣向を絶賛する。その後中本が現れ、テルコと交際することになったことを明かし、自らの非礼を「テルコの気を引くためだった」と詫びた。(63巻)

 自ら具材を揚げて食べるスタイルの「縁起のいい鍋」は、感染症対策にもうってつけ。何かと暗い話題が多かった2020年を払拭し、運気を上げる意味でも、「縁起のいい鍋」を試してみる価値はありそうだ。

寒さを『美味しんぼ』で乗り切る

 『美味しんぼ』では、厳しい寒さを乗り切る手助けをしてくれる「あったかい料理」が数多く紹介されている。『美味しんぼ』を読み返して、料理作りにチャレンジしてみるのもよさそうだ。

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