漫画家・岡崎京子、文筆家としての個性とは? 後追い世代が感じた、80~90年代の匂い

岡崎京子のエッセイの魅力が分かる2冊

レアリティーズ

 岡崎の作品が膨大なオマージュで構成されていることはよく知られているだろう。だが、あまりにも広範囲に渡るため、その全てを網羅するのは難しい。

 『レアリティーズ』は、そんな岡崎の仕事ぶりを知る上で貴重な文献と言えるだろう。本書は貴重な同人時代の作品や、イラストエッセイなどが収録され、半分以上が漫画で、その残りがイラストエッセイといった構成だ。

 日本で初めての耽美雑誌『JUNE』で連載されていた「ひ・み・つ 美形のスケッチブック」は、ランボーから北斗の拳のキャラクターまで、古今東西の人物を縦横無尽に取り上げ、独自の観点から分析している。改めて彼女の博覧強記ぶりに驚かされるだろう。

 1993年のイラストエッセイ「虹の彼方に」は、パルコで配布されていたフリーペーパー『GOMES』に掲載されていた。彼女が巷に対し、どんなふうにアンテナを張っていたのかを垣間見れる楽しいエッセイ。少しよそ行きだが、背伸びはしないバランス感覚が絶妙だ。ファッショナブルな挿絵も魅力的。

 同じ時代を生きられなかったファンからすると、むせ返るような80〜90年代の匂いが眩しくもある本書。帯にある通り「リアルでレアなオカザキの素(ルーツ)」と呼ぶのにふさわしい1冊だ。

■日比生梨香子
英国の大学を卒業後フリーライターになりました。山口百恵ファンです。サブカルチャーに関心があります。@highrika1212

■書籍情報
『オカザキ・ジャーナル』
価格:本体 1,600円+税
出版社:平凡社
公式サイト

『オカザキ・ジャーナル』
価格:本体 1,400円+税
出版社:平凡社
公式サイト

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