『ジョジョの奇妙な冒険』岸辺露伴はなぜ人気キャラに? 唯一無二の“不気味な魅力”を考察

『ジョジョ』岸辺露伴の魅力を考察

 露伴のスタンド「ヘブンズ・ドアー」は、相手を本にすることで、人生の経験をページを捲るように覗いたり、未来の行動を書き込める能力。考えようによっては無敵の、彼の知的欲求からくる好奇心を具現化したようなスタンドだ。杉本鈴美との出会いや仗助から挑まれるチンチロリン、ジャンケン小僧との勝負、乙雅三とのチープ・トリック戦など、露伴が主役となるエピソードは、どれも漫画のネタになるならば、というような好奇心が根底にある。今回、実写ドラマ化となる第1話「富豪村」も、リアリティを追い求め取材先で奇妙な出来事に遭遇するエピソードだ。

 露伴には自宅が半焼になったり、イタリアで盗難にあったり(『岸辺露伴 グッチへ行く』より)と何かと波瀾万丈でお茶目な一面もある。一方で、ジャンケン小僧に対して大人気ない態度を取るような底意地の悪さも。「だが断る」は露伴のみならず、『ジョジョ』における屈指の名ゼリフであるが、その後に続くセリフまではあまり知られていない。

「この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは自分で強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ」

 相手の噴上裕也に勝るほどの自信家で、まさに唯我独尊な露伴を印象付けた一言だ。

 露伴が長年愛される魅力は、荒木作品の大きなテーマである不気味さを背負いながらも、漫画のためなら犠牲も厭わない好奇心、さらに仗助たちと同じ揺るがなきハートフルな「黄金の精神」を持つところにある。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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