『呪術廻戦』五条悟、『ヒロアカ』相澤消太、『暗殺教室』殺せんせー……先生キャラはなぜ人気?

少年漫画の先生キャラはなぜ人気?

 ぶっきらぼうかつ合理的なことを好む性格のため、怖い人物だと思われがちな『僕のヒーローアカデミア』の相澤消太はいい例だ。「見込みがない者はいつでも切り捨てます 半端に夢を追わせる事ほど残酷なものはない」と言い、1クラス全員除籍処分にしたこともある相澤。しかしそれも、ヒーローという命がけの職業を目指す生徒の身を案ずる故の判断だ。

 連載初期、林間学校で生徒たちがヴィランに襲われた際も冷静な分析をして生徒を守ったり、爆豪勝己がヴィランに拉致されたことに対しての謝罪会見で、頭を下げて冷静に状況説明をしたり、生徒思いな一面が作中には多く見られる。酸いも甘いも噛み分けてきた先生だからこその立ち回りは、生徒だけでなく読者をも惹きつけている。

 さらに、「辛い過去がある」という設定も先生キャラに惹かれる要因だ。はじめから生徒を導くカリスマ性や人格を持っているわけではなく、辛い経験を経て得たケースが多いのである。アニメ化、実写映画化もされた人気漫画『暗殺教室』の殺せんせーもそうだ。

 誰も殺すことができない化物として登場しているが、その正体は「死神」という通り名を持つ殺し屋で、元人間。捉えられた後に被検体として様々な実験を繰り返され、異形と化してしまったのである。そして暴走してしまい、心を通わせていた3年E組の前担任である雪村あぐりに致命傷を負わせてしまい、「自分の代わりにE組の教師になってほしい」という彼女の遺言を実行するためにE組に来たというわけだ。

 いつもは物腰柔らかで飄々としていて、生徒たちの素行に敏感な教育者然としている殺せんせーだが、実は暗い過去を背負っているというギャップが、彼の魅力に繋がっている。

 主人公たちの尊敬を一心に集める先生キャラ。絶対的な強さ、優しさだけではない言動、辛い過去があるからこその今。こうした多様な背景を持つ彼らの人気が出るのは当然だろう。彼らの魅力にどっぷり浸かりながら、作品を楽しんでみるのもいいかもしれない。

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