なぜ人は『極主夫道』にハマってしまうのか? 考え抜かれた作風を紐解く

『極主夫道』考え抜かれた作風に迫る

 龍にかかわる人々は多い。まず妻の美久。次いで、元舎弟の龍。他にも、不死身の龍と双璧をなすといわれた超武闘派ヤクザだったが、今は露天商をしている剛拳の虎。近所の主婦や、婦人会のメンバー。「クライムキャッチポリキュア☆」好きのオタク男。美久の両親。町内の子供たち。解散した「茜井組」の姐さんだった茜井雲雀。まるでローテーションのように彼らを登場させ、龍と絡ませる。それぞれに個性的なキャラクターと、いつでもどこでも変わらない龍を組み合わせることで、多彩な内容になり、常に新鮮な気持ちで読めるのである。

 なかでも特に感心したのが、龍と美久の飼っている銀という猫の扱いだ。現在、単行本は6巻まで刊行されているが、銀が大きくストーリーに絡む話は、今のところ第6話しかない。その代わりなのか、巻末のおまけ漫画では主役を張っている。だからメインのストーリーに、ちらりと登場するだけで、レアキャラに出会えたような嬉しさを感じてしまう。これも作者の計算なのか。やはり考え抜かれた作品なのだ。

 などと書いてきたが、あくまでも本作はコメディである。サクッと読んで、楽しむだけでいい。龍と周囲の人々が繰り広げる爆笑ドラマが、いつまでも続くことを望んでいるのだ。

■細谷正充
1963年、埼玉県生まれ。文芸評論家。歴史時代小説、ミステリーなどのエンターテインメント作品を中心に、書評、解説を数多く執筆している。アンソロジーの編者としての著書も多い。主な編著書に『歴史・時代小説の快楽 読まなきゃ死ねない全100作ガイド』『井伊の赤備え 徳川四天王筆頭史譚』『名刀伝』『名刀伝(二)』『名城伝』などがある。

■書籍情報
『極主夫道』(BUNCH COMICS)
著者:おおのこうすけ
出版社:新潮社
試し読みページ(くらげバンチサイト内)

■放送情報
『極主夫道』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~23:25放送
出演:玉木宏、川口春奈、志尊淳、古川雄大、玉城ティナ、MEGUMI、安井順平、田中道子、白鳥玉季、中川大輔、片岡久迪、水橋研二、本多力、新津ちせ、橋本じゅん、滝藤賢一、稲森いずみ、竹中直人
原作:おおのこうすけ『極主夫道』(新潮社『くらげバンチ』連載中)
脚本:宇田学ほか
監督:瑠東東一郎ほか
チーフプロデューサー:前西和成
プロデューサー:中山喬詞、小島祥子、清家優輝(ファインエンターテイメント)
共同プロデューサー:池田健司(日本テレビ)
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:読売テレビ
(c)読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/gokushufudo/
公式Twitter:https://twitter.com/gokushufu_drama
公式Instagram:https://www.instagram.com/gokushufu_drama
公式LINE:https://lin.ee/d5BOlPr

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