9年半ぶり「ハルヒ」新刊、発売前から大きな盛り上がり ライトノベル週間ランキング

発売前から盛り上がる9年半ぶりのハルヒ

 17年目の「涼宮ハルヒ」シリーズよりも長く続くライトノベルの人気シリーズが、20年目となった時雨沢恵一の『キノの旅 the Beautiful World』だ。喋るモトラド(バイクのような乗り物)に乗って世界を旅するキノを通して、社会や風習や意識を風刺するような短編を積み重ねて来た作作品で、11月10日に発売された最新刊『キノの旅XXIII the Beautiful World XXⅢ(23)』(電撃文庫)がランキング1位を獲得した。

 全11編を収録しているが、そのうち3編は口絵の部分を使って黒星紅白のイラストをメインにしたショートストーリー。女性は女性、ハゲはハゲ、モトラドはモトラドが演じなくてはいけないと決められた「演技の国」や、剣よりも強いペンの力を抑制するため、活字や音声などあらゆる表現によって情報を伝えることが禁止された「ペンの国」など、短いながらも昨今の話題を鋭く衝くような内容でギクリとさせられる。

 3位は12月10日発売の川原礫『ソードアート・オンライン25 ユナイタル・リングⅣ』(電撃文庫)が予約段階で入り、4位は無印から新約を経て新シリーズへと入って3作目となる11月10日発売の『創訳 とある魔術の禁書目録3』(電撃文庫)、5位は「青ブタ」シリーズ最新刊で12月10日発売の鴨志田一『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』(電撃文庫)がランクイン。電撃の看板作品が強みを見せた。

■タニグチリウイチ
愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。

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