『とんかつDJアゲ太郎』テーマは文化の継承? ”伝統と革新”を体現するオールドスクールな魅力

『アゲ太郎』オールドスクールな魅力

■2020年に読む/観る『アゲ太郎』の意味

 現在も「ジャンプ+」には『SPY×FAMILY』にしろ『忘却バッテリー』にしろ、「ジャンプ」本誌には連載されないかもしれないが「ジャンプ」を冠する媒体/作品としてどこか納得感のあるものが掲載されている。

 ここまで見てきたように、サービス開始当初に連載されていた『アゲ太郎』もまた“少なくとも半分は間違いなく「ジャンプ」的”という、今日まで続く「ジャンプ+」のありようを体現する、アンセムのような作品だった。

 自分たちなりに「ジャンプ」の伝統を継承しながら、マンガアプリという新しい場所で、新しいことにチャレンジするという意気込みと初々しさに満ちている。

 マンガアプリが、そして「ジャンプ+」が当たり前のものになった2020年の今こそ、アゲ太郎がルーツを辿ったように、われわれも原点回帰的に『とんかつDJアゲ太郎』を読み、映画館に足を運ぶべき時なのではなかろうか。

 なお筆者はとんかつよりチキンカツが好きです。

■飯田一史
取材・調査・執筆業。出版社にてカルチャー誌、小説の編集者を経て独立。コンテンツビジネスや出版産業、ネット文化、最近は児童書市場や読書推進施策に関心がある。著作に『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの? マンガアプリ以降のマンガビジネス大転換時代』『ウェブ小説の衝撃』など。出版業界紙「新文化」にて「子どもの本が売れる理由 知られざるFACT」(https://www.shinbunka.co.jp/rensai/kodomonohonlog.htm)、小説誌「小説すばる」にウェブ小説時評「書を捨てよ、ウェブへ出よう」連載中。グロービスMBA。

■書籍情報
『とんかつDJアゲ太郎』11巻完結(ジャンプコミックス)
著者: イーピャオ(原案)小山ゆうじろう(作画)
価格:606円
https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049550155

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