『美少女戦士セーラームーン』大人になってからわかる意味とは? 時代を超えて伝わるメッセージを読み解く

『セーラームーン』大人になってわかる意味

 『きんぎょ注意報!』に続けて『セーラームーン』に入った女子小学生は特に、前番組との落差に驚いただろう。コメディ調の演出を『きん注』から受け継ぎながらも、核となるのはバトルシーンと大人の恋愛である。

 ダーク・キングダムとの戦闘の末にセーラー4戦士が非業の死を遂げる回では、ショックのあまりに寝込んだ子供が後を絶たず、テレビ朝日に苦情が殺到した。もちろんこれも「魂に終わりがない」「転生して何度も巡り合う」という過去世の設定を織り込んだゆえの確信犯的な流れであったが、流石に子供には伝わらなかったようだ。

 次回作『セーラームーンR』では、銀水晶の力で生まれ変わったセーラー戦士たちが、前作の記憶を取り戻し再集結している。魂の永遠はセーラームーンの最終形態・エターナルセーラームーンにも掛かっており、それが来年公開の劇場版『Eternal』のタイトルの意味にも繋がっている。

 子供の頃にハマった後、大人になってからちゃんと意味がわかるというのが、『セーラームーン』の魅力である。2003年には原作が新装版として、2013年には完全版に転生している。この機に再び巡り合うのもいいだろう。

■井上郁 
言語学者、フリーライター。英文学・言語学・メディア記号論を専攻。マンガ・アニメ・ゲームを総合文化研究の俎上に載せ、記号論の観点から考察しています。

■書籍情報
『美少女戦士セーラームーン 完全版(1)』
 武内直子 著
価格:本体1,500円+税
出版社:講談社
公式サイト

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