『キン肉マン』連載開始から41年、今こそ最高潮!? 不滅の“友情パワー”は神を超えるか

『キン肉マン』は今こそ最高潮?

 そんな作品に育ってしまったキン肉マンだが、それでも昔から変わらない、いわゆる「ゆで理論」と「トンデモ起源説」、辻褄の合わない矛盾展開は全開である。ツッコミどころはそれこそ無限にあるが、いちいちそれらを取り上げてディスっていても何も始まらない。関西人のボケだと思ってしっかりとツッコミを入れつつ笑い飛ばして読むのが、キン肉マンの正しい楽しみ方である。最近はちょっとしたアラでもすぐ突かれてSNSで糾弾される生きにくい世の中になっているが、ゆでたまごの嶋田先生のSNS上での読者とのやりとりを見てもらえれば、そこに理想の優しい世界があることに気づくだろう。

 72巻でオメガ編が終了し。現在「週刊プレイボーイ」(とWEB)で連載が始まった新章は、先述の通り”下天”して超神となった天界の神々との戦いである。超人たちが敗れる=カピラリア光線で超人滅亡の、まさに種の存続を賭けた最大(そしておそらく)最後の戦いである。造物主である神が自らの手で人類を滅ぼしに来て、それに対して抵抗するというのは、字面だけを追えば『サイボーグ009』の完結編と全く同じストーリーであり、あの巨匠、石ノ森章太郎でさえあまりに構想が巨大になりすぎて最終的に描き切ることができなかった。神々との戦いにゆでたまごが挑むというのは、ともすれば無謀にも思えるだろう。

 それでもゆでたまごなら、きっと『キン肉マン』として描き切れてしまうのだ。だって神々も神としてではなく超神として戦うわけだし、超神がどんな能力を使おうがやることは超人プロレスだ。神が姿を変えた超神が何人出てこようが、それはきっとボクらの誰かが考えた超神だし、もしかしたら子どもが考えた超神を、その子の親が考えた超人が倒すなんてことがあるかもしれない。

 この41年間、続いてきたゆでたまご両氏と読者の“友情パワー”があれば、できないことなんて何もないはずだ。

■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。

■書籍情報
『キン肉マン(72)』
ゆでたまご 著
価格:本体440円+税
出版社:集英社
公式サイト

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