もしも鈴木愛理が“普通の女子高生”として過ごしたら……写真集『卒業』に詰まった学生生活への憧れ

鈴木愛理『卒業』に込められた想い

まさに卒業アルバム

 筆者は鈴木愛理とほぼ同世代のため、キッズの頃からともに歳を重ねてきた実感がある。長きにわたりアイドルとして活動する彼女の姿を見続けてきて、髪型やメイクが大きく変わることもなく、正統派を貫いている印象が強かったのだけれど、改めて3年分が凝縮された本作を見返すと、表情の些細な変化に気づくことができた。冒頭のカットでは、今よりも少し頬がふっくらとしていて幼さを感じるけれど、ページをめくるごとに徐々に自信が溢れるような、大人っぽい表情が増えてきているように感じる。15歳から17歳の記録。表情に変化があるのは当然とも言えるかもしれないが、アイドルとして安定感のあるパフォーマンスを見せてきた彼女だからこそ、その些細な変化を見落としてしまっていた気がする。

 終盤のカットでは、序盤に荷ほどきをして散らかっていた部屋がスッキリと片付いている。そして、迎える卒業式。最後の制服を身に纏い、涙を見せる印象的なカットが続く。しかし、卒業はゴールではなくスタートだ、と誰かが言ったそんな言葉を彷彿とさせるように、次のカットでは大人っぽい私服に身を包み、持ち前の明るい笑顔で颯爽と東京の街を歩いている。最後は、段ボールに仕舞われた制服に青春の匂いを残して、写真集は幕を閉じる。

 まさに卒業アルバム。今やソロアーティストやモデルとして活躍している鈴木愛理の、ちょっぴり幼い普通の女子高生の一面を、本作のデジタル化に伴い今一度見返してみてはどうだろうか。プロフェッショナルな彼女の、素朴で多感な表情をぜひ見てみてほしい。

■とり
 日々グラビアに勇気と希望をもらって生きており、 グラビアを熱くドラマチックに語るのが趣味。 読んだ後に心が豊かになるような文章を心がけています。 好物はカレーとサーモンです。Twitter:@seikatsu_torinote

■書籍情報
鈴木愛理 全集 2010-2013 『 卒業 』
価格:電子版2,640円(税込)
出版社:ワニブックス
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