『ONE PIECE』サンジは“頭脳派の参謀”へ 騎士道精神あふれる男の真価に迫る

『ONE PIECE』サンジは“頭脳派の参謀”へ

 サンジといえば麦わらの一味において、ゾロと並び、船長・ルフィの右腕的なポジションだ。そんな、海賊団にとって主戦力といえる二人だが、この両者の“犬猿の仲”的な関係性が面白い。肝心なときに寝ていたり方向音痴を発揮したりする天然的なゾロと、女性が好きすぎるのが玉に瑕な三枚目のサンジ。しかし、一味の結束力が精神的に揺らいだときには、ゾロの“武士道精神と”サンジの“騎士道精神”が呼応し合うこともある。心の底では、背中を預け合える二人であり、やはりどちらも船長の右腕だ。そして、ゾロもそうだが、ここぞというときの核心を突いたサンジのセリフには唸らせられる。人生の教訓にしている方もいることだろう。筆者の一番好きなセリフは「お前にできねェ事はおれがやる。おれにできねェ事をお前がやれ!!!」である。これはエニエス・ロビーでウソップに向けて放った言葉だが、感情的にならず、その場その場での自分の“役割”を考え、実行に移す。ここに彼の大きな成長が感じられるし、これまた実に参謀的な発言である。

 サンジの成長が麦わらの一味に与えた功績は大きい。“頼れる兄貴肌”も、物語が進むにつれてより強固なものになっていく。他の面々と違わず、彼もまた“過酷な過去”を背負う男でもあった。そんな彼の目指すロマンである、オールブルーとは何か? これからもアニキに“お世話になる”つもりだ。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

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