『ハッピーマムアン』が描く日常の彩り 読む人によって違うマムアンちゃんが問いかけ

『ハッピーマムアン』が描く日常の彩り

軽く心をあたためたい、そんなときにちょうどいい一冊

 ここまで読んでくれた読者の中には、マムアンちゃんに対して「自己啓発本なの?」とか「カウンセリングのような感じ?」というイメージをもたれた方もいるかもしれない。しかし、マムアンちゃんは決してそのようなイメージの本ではない。何と言えばいいか、もっと軽いのだ。スヌーピーを読んでいるときと同じ感覚だと思ってもらえればいい。

 マムアンちゃんはただ淡々と自分の日常を送っている。読者はそれをちょこっと垣間見させてもらっているだけ。そのため、読むことを強制されている感じがまったくしない。いつでも読めるし、どこからでも読める。読まなくてもいい。その軽さが押しつけがましくなくてすごくちょうどいい。

 ずっと一つのストーリーに沿っている漫画だと、続きが気になり眠いのにページをめくってしまったり朝まで夜通し読んでしまったりすることもあるだろう。しかし、マムアンちゃんではそれは起こらない。1話がとても短いというのもあるが、1話ごとに違った感想や感情があって、1話を読むだけで満足してしまうこともあるからだ。「今日はここまででいいな」とさっとマムアンちゃんから抜けて自分に戻れる。ストレスなく読み進められる点がまとまった時間を確保しづらい身としてはありがたい。

 「ちょっと今日は疲れたな」「最近嫌になることばかり」そんなときにさっと本を開いて、お気に入りの話を何話か読む。そうしてほどよくあたたまったハートを抱いて満足して眠りにつく。そんな使い方のできる本であると筆者は感じている。ふわりとあたたかく、しつこくなくてちょうどいい。ベッドサイドにほしい1冊だ。

■水城みかん(みずき みかん)
経理・フィットネス・Amazon系を中心に各種Webメディアにて執筆。趣味は漫画・アニメ。AlexaとVODに依存したひきこもり生活を満喫中。

■書籍情報
『ハッピーマムアン』
ウィスット・ポンニミット 著
価格:1,320円(税込)
出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン
公式サイト

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