人類は深海の5%も目視できていないーー暗黒世界に横たわる巨大地形、その雄大なストーリーとは?

人類が5%も目視できていない深海の謎

日本の深海底研究が止まってしまう可能性も

 深海底の知られざる世界と、そこから見える地球の正体という大きなテーマに挑んだ本書だが、いわゆる科学モノのような難解さはなく、カジュアルに読み進められる一冊に仕上げられている。あとがきに書かれているが、日本が誇る潜水艇である「しんかい6500」の老朽化が懸念されており、後継機が作られなければ、日本の深海底研究は止まってしまうそうだ。本書にある親しみやすさは、そうした状況を打破すべく凝らされた工夫なのかもしれない。地球科学というものに改めて目を向ける機会として、広く読まれることを期待したい。

■熊谷和樹(くまがい かずき)
1985年生まれ。ライター/編集者/カメラマン。元「アコースティック・ギター・マガジン』(リットー・ミュージック)編集部所属。現在は音楽MVのディレクション、音楽系メディアを中心にライターとして活動中。

■書籍情報
『見えない絶景 深海底巨大地形』
藤岡換太郎 著
価格:本体1000円+税
出版社:講談社ブルーバックス
公式サイト

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