『僕の心のヤバイやつ』市川と山田の関係性に急展開か? 考察系ラブコメの面白さ

『僕ヤバ』に急展開か?

 これまでのストーリーでは、そうした描写が積み重ねられていく中で、徐々に市川が自分の気持ちに気づく様子が描かれてきた。二人の関係性も、決定的なことはなかなか起こらないまま、しかし距離は確実に近づいている。漫画の貸し借りをしたり、一緒に帰ったりと、二人がすでに仲の良い友人であることは確かだろう。今回、市川が山田から借りた漫画について、「色恋がどーのというより…心を通わせる描写…?がいい…」と感想を語り、山田が「私も!!」と同意する場面は、二人が思い描く理想の関係性を表現すると同時に、『僕の心のヤバイやつ』という作品そのものの自己批評にもなっていて、改めて同作の奥深さに唸らせられた。

 さて、「Karte.4 僕は渡した」の伏線が見事に回収された今回の「Karte.44」だが、サブタイトルに現れた明確な変化は、やはり物語が次の段階へと進んだことを象徴しているのだろう。次回はどんな「心を通わせる描写」があるのか、待ち遠しくて仕方ない。

■書籍情報
『僕の心のヤバイやつ』(少年チャンピオンコミックス/マンガクロス)1〜2巻
著者:桜井のりお
出版社:秋田書店
https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253226159

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